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日産とNEC、自動車用リチウムイオン電池量産に120億円を投資、2011年には年間6万5,000台分を量産へ

[issued: 2008.05.19]

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左から、NECトーキン岡部社長、NEC鹿島専務、AESC大塚社長、日産タバレス副社長、篠原常務
左から、NECトーキン岡部社長、NEC鹿島専務、AESC大塚社長、日産タバレス副社長、篠原常務
AESCの事業計画
AESCの事業計画

 日産自動車、NEC、NECトーキンの3社は19日、2007年4月に設立した合弁会社オートモーティブエナジーサプライ(AESC)により自動車用リチウムイオン電池を事業化し、2009年度内に日産をはじめ自動車メーカーや建設機械メーカー向けに量産を開始すると発表した。

 AESCでは、量産に向けて今後3年間で120億円を投資し、日産の座間事業所(神奈川県座間市)に自動化した生産ラインを構築する。09年度内に開始する初期量産の年間生産能力は自動車1万3,000台分、セル数では160万セル。09年に発売される小型バッテリーフォークリフト向けでの初採用を皮切りに、10年度に日本と北米市場に投入される日産独自の電気自動車とハイブリッド車に採用される予定。さらに、日産と仏Renault社のアライアンスと米Project Better Place社が、11年にイスラエルとデンマークで実施する電気自動車プロジェクトにもAESCがリチウムイオン電池を供給する。これらの需要に対応するため、11年度内までに初期の5倍となる年間6万5,000台分の生産体制を整える。

 新工場の延床面積は、1万平方メートル。従業員数は08年の80人から、11年には190人まで増やす。AESCの資本金も、発足時の2億4,500万円から14億9,500万円に増資し、出資比率は日産51%、NEC42%、NECトーキン7%となる。

 またAESCの自動車用リチウムイオン電池事業化にあわせて、AESC製リチウムイオン電池の特徴である高安定のマンガン正極を含めて電極を生産しているNECトーキンも、NEC相模原事業所(神奈川県相模原市)生産ラインを新設する。投資額は今後3年間で110億円で、09年から生産を開始する。現在、電極生産は富山工場で行っているが、将来的には相模原に集約する方針。新規ラインの延床面積は1万2,000平方メートルで、従業員数は170人。相模原で生産する電極は、AESCが生産する自動車用以外に、NECトーキンが自社で生産する電動自転車や産業機器な他分野向けの製品にも使用する。

 なお、AESC、NECトーキンとも、工場建設と建屋リース料を含めた投資について、神奈川県の産業集積促進方策「インベスト神奈川」に基いた助成金申請を行っている。また、日産と神奈川県は19日、2010年から開始する本格的な電気自動車試験プロジェクトの実行可能性に関する検討開始で合意したと発表した。電気自動車だけではなく、充電ネットワーク設置、優遇策などを含めて検討する。これは、神奈川県が4月に発表した、2014年度までに県内3,000台の電気自動車の普及を目指す政策「EVイニシアティブかながわ」に基づくもの。

 記者発表には、AESCの大塚政彦社長、日産のカルロス・タバレス副社長と篠原稔常務執行役員、NEC取締役の鹿島浩之助執行役員専務、NECトーキンの岡部政和社長が出席した。各社トップのコメントは以下の通り。

AESC大塚社長:
「AESCでは出力密度を重視したハイブリッド車向けの製品と、エネルギー密度を重視した電気自動車向け製品をラインアップしている。現在の従業員数は、NECからの約40人、日産からの約20人を含めて80人だが、11年には製造で120人、開発で50人など約190人にまで増やす。競合他社に比べて人員は比較的少ないが、生産ラインを全自動化することで対応したい。07年から行っている富士重工業への製品供給は、今後も継続することで合意している。現在、世界で自動車用二次電池を手がける企業は10社以上あり競争は厳しいが、市場が一定の規模にまで拡大する12年ごろには、トップ3に入っているるようにしたい」

日産タバレス副社長:
「日産では、新たな中期経営計画『日産GT2012』の3つのコミットメントのひとつに『ゼロエミッション』を掲げた。過渡的に必要となる、クリーンディーゼルやハイブリッドにも対応するが、排出ガスのない電気自動車こそゼロエミッション達成に向けて最も重要になる。電気自動車の中核部品であるリチウムイオン電池を独立事業化することで、一般消費者にとって求めやすい価格で電気自動車を市場投入できるようにする」

NEC鹿島専務:
「11年には自動車用リチウムイオン電池の市場は2000億円を超えるといわれている。NECグループの電池セル技術と、日産の組電池技術を組み合わせることにより、事業化できると判断した。また、自動車用リチウムイオン電池開発を行ってきたNECラミリオンエナジーはAESCに機能を統合していく方針だ」

NECトーキン岡部社長:
「NECトーキンでは、AESCでも採用している高安定のマンガンスピネル正極とラミネート型電池セルは、電動自転車、草刈機、無停電電源装置などに採用され需要は拡大している。AESCの生産が立ち上がれば、現在富山で行っている電極生産では不足することは確実であり、相模原に電極生産の新規ラインを構築することとした。相模原での生産は、NECが電池開発の拠点としていることに加え、AESCの生産工場である座間にほど近く、神奈川県が電気自動車導入に積極的なこともメリットになっている。神奈川県内で高性能リチウムイオン電池を一貫生産できる体制が整った」

(朴 尚洙)

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