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ガチャガチャ飲み窒息 バンダイに2600万円賠償命令

2008年05月21日01時09分

 「ガチャガチャ」などと呼ばれる玩具入りカプセルのカプセルがのどに詰まり、窒息状態になって脳に重度の後遺症を負ったのはカプセルの欠陥が原因だとして、鹿児島市内在住の小学校3年の男子児童(8)と両親が製造・販売会社「バンプレスト」(現バンダイナムコゲームス、東京都品川区)に約1億800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が20日、鹿児島地裁であった。高野裕裁判長は「カプセルは幼児の口に入り、窒息を引き起こす危険性があった」と企業側の製造物責任を認め、男児側に約2600万円を支払うよう命じた。

 判決によると、02年8月、当時2歳だった男児は鹿児島市内の自宅で直径4センチのプラスチック製の球状カプセルを手にして走り回っていた際、口に持っていった瞬間に過ってのみ込んでしまった。母親が取り出そうとしたが、手が入るすき間がなかった。このため病院で医療器具を使って取り出したが、その間、男児は低酸素状態となり、脳に重度の後遺症がのこった。

 判決などによると、商品名は「プチポンコレクション」。通常、カプセルの内部にアニメキャラクターの人形などが入っている。ゲームセンターやショッピングセンターに設置されたゲーム機に100円を投入し、ゲームの景品として少なくとも一つを購入できる仕組みだという。

 企業側はこのカプセルについて「玩具カプセルの直径が31.8ミリの円筒内に収まらないサイズとする日本玩具協会の安全基準(ST基準)を満たしている」として「カプセルに欠陥はない」と主張していた。

 判決は「3歳未満の幼児が玩具を取り出した後にカプセルで遊ぶことは予想でき、3歳前後の子どもの口の開く大きさが直径4センチを超えることを想像できたはずだ」と指摘。カプセルの構造について「のみ込んだ場合に備えて取り出しやすくするため、角形にしたり、気道確保のための穴を複数設ける設計が必要だった」とした。

 そうした企業側の責任を踏まえ、判決は「企業は幼児の口の中にカプセルが入ることを防止する必要があり、安全基準を満たすだけで窒息防止に十分な安全性を有していたとは認められない」と結論づけた。

 同社広報部は朝日新聞の取材に「判決文が届いておらず、コメントできません」と話した。

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