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05/20-12:48--償却前でも赤字転落　苫田ダムの暗い影　県広域水道企業団

　岡山県内17市町に水道用水を供給する県広域水道企業団（岡山市寺山、企業長・山口裕視副知事）は、07年度決算以降に減価償却前でも赤字が続く見込みとなり、経営改革が喫緊の課題となっている。しかし、構成団体の受水量は伸び悩み、企業債償還の負担も年々増す見通しとなっており、苫田ダム建設の影響が暗い影を落としている。 　同企業団は、県と吉井川、高梁川流域１０市７町が出資する一部事務組合。１９８４年１１月に設立許可を受け、９３年７月に水道用水の供給を始めた。 　水源となっている５ダムと吉井川坂根堰の利水可能量は、１日当たり４９万３９００トン。岡山（岡山市寺山）、津山第１（津山市小田中）、津山第２（同市草加部）、総社（総社市井尻野）の４浄水場を持ち、１日最大供給量は１３万４５５４トンとなっている。 　１日平均供給量は、最終年度（２０１５年度）に同２１万８３００トンとする計画だが、現状は約７万５千トンしかない。 　中でも利水可能量が１日当たり４０万トンと、最大の水源となっている苫田ダムについては、構成団体へ割り当てられた３０万トンのうち、現在の許可水量は１３万４５２０トンにとどまっている。 　残りの１０万トンを県が約７７億円（１５年度までの見込み額）を支払って調整水量として抱えているが、大幅な水余りが生じている。 　このため給水収入は思うように伸びず、０６年度決算の営業的収支は、４４億６千万円の収入に対し、支出は動力費や減価償却費など５６億４千万円で、１１億８千万円の赤字。 　資本的収支をみると、国庫補助金、起債、構成団体からの出資金などで４４億７千万円の収入があるが、建設改良費、水源開発に充てた企業債の償還などで６２億９千万円を支出し、１８億２千万円の赤字となっている。 　単年度収支も給水を始めた９５年度以降、減価償却後の収支は赤字続きだが、減価償却前では黒字で、０６年度は３億５千万円の黒字。 　ところが、０７年度決算見込みでは、施設建設に充てた企業債の償還額が前年より２億４千万円増えることなどから、償却前でも赤字に転落する見込み。 　０６年度末で約３７億円の内部留保があるため、当面は赤字を穴埋めできるが、企業債残高は約５５０億円（０６年度末）に及んでおり、公債費（借金の返済）は、年々増加を続ける。 　一方、少子化などで水需要の伸びは見込めず、構成団体の受水量増の可能性は低い。激しい反対運動に遭いながらも建設された苫田ダムが抱える余剰水量解消の見通しも見えない。放置すれば、将来的に経営危機に陥る可能性も秘め、構造的な問題を抱える。 　同企業団は、改善へ向け「経費節減に取り組むとともに給水量増加に力を入れたい」と強調。具体策については、県と構成団体の代表で作る「経営健全化検討会議」を今年度も開き、中長期的な安定化策を話し合う。 　給水量の増加には、国が打ち出した簡易水道統合の動きに期待する。０９年度末までに市町村が計画を見直す予定だが「老朽化施設があれば、個々の事情にはなるが、企業団からの受水を働き掛けたい」としている。

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