政府、豪女性に見舞金/神奈川・米兵暴行
【東京】二〇〇二年に神奈川県でオーストラリア人女性が米兵に暴行された事件で、防衛省が見舞金三百万円を女性に支払うことが十九日、分かった。米軍人による事件・事故で、日米間で見解が分かれるなどして被害者への補償が困難になった場合、日本政府が代わって救済する「見舞金制度」を活用するもので、数日内に支払われる見通し。
米兵は不起訴処分となったが、その後、女性が損害賠償請求訴訟を提起。東京地裁は女性の訴えを認め、米兵に三百万円の支払いを命じたが、米兵は裁判中に帰国していた。
日米地位協定(一八条六項c)は米兵に公務外で賠償義務が生じ、本人に支払い能力がない場合、米政府が支払うとしている。
防衛省によると米国内の外国人請求法では、事件発生から二年以内に請求がなければ時効になると規定。民事判決が出た時点で、時効になっていたという。
このため、同省は「地位協定で救済されない場合、国が救済を必要と認めた時に支給できる」との閣議決定(一九六四年)に基づき、女性に「見舞金」を支払うことを決めた。
同省によると、二〇〇五年からの三年間で「見舞金」が支払われたのは九件(県内の三件含む)で、今回が十件目となる。
女性は「米兵は私に謝罪しておらず、逃げたままだ。米兵も米軍も責任を持たず、日本で税金を払っている人の負担になるのはおかしい。米兵を日本に戻して責任を取らせるべきだ」と話した。
日本負担は問題
新垣勉弁護士 日本政府が見舞金制度で全額補償することは評価できる。今回の事件の特殊性に基づくものでなく、一般的基準として運用されるか注目される。米側が全く負担せず、日本側が支払うことは問題。