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筑前の自殺中2生徒母、教員志望の大学生にいじめ根絶語る

ne_im_07011202.jpg 教師志望の学生らに、いじめ根絶への思いを語る森美加さん(11日、埼玉県東松山市の大東文化大で)

 福岡県筑前町の三輪中でいじめを受けた2年の男子生徒(当時13歳)が自殺して3か月となった11日、男子生徒の母親の森美加さん(36)が埼玉県東松山市の大東文化大東松山キャンパスの教壇に立った。教師を目指す文学部教育学科の学生たちを前にいじめ根絶に向けた思いを語り、「子どもにとって教師の存在は大きい。理想の教師像を忘れずにいてください」と訴えた。

 森さんは「将来教壇に立つ学生さんに、子どもの命を預かる責任を考えてもらいたい」と知人の村山士郎・同大教授(教育学)に相談。村山教授の仲介で特別講義が実現した。

 約100人が聴講した。森さんは、優しかった男子生徒の人柄を紹介。そのうえで、「(男子生徒がいじめに対し)つらく感じているとは思わなかった」という同級生の声を聞いたことを機に、人の痛みを感じていない子どもがいると気づき、いじめ問題を深く考えるようになったと明かした。いじめとは何かを広く伝え、いじめのない世界を作ることが男子生徒の願いでもあると考えるようになったという。

 また、男子生徒の弟2人は強いショックを受けたが、小学校の担任教師たちが自宅に駆けつけて抱きしめてくれたり、学級でどう対応するか児童たちと話し合ってくれたりしたことを紹介。弟たちは今、以前と変わらぬ様子で小学校に通っているといい、「子どもにとって、信頼できる先生の存在は本当に大きいと感じた」と語った。

 最後には「きょう、私の話を聞いて『いじめは許されない』と思ってくれたのなら、その気持ちをずっと大切に」と呼びかけた。

 小学校教諭を目指しているという1年の峯村麻佑子さん(20)は講義後、「『いじめは駄目だ』と子どもに教える以上、自分が人を傷つけるような言動をしてはいけない。常にチェックし、感覚を磨いていきたい」と話した。

 森さんはこれまで匿名で取材に応じていたが、「自分の思いを多くの人にきちんと伝えていきたい」と新聞紙上での実名公表を決意した。

読売・九州発 1月12日

     

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