◇「大事な存在」と子どもに伝えて
全国で続いたいじめ自殺を受けて太宰府市で18日、「いじめ問題を考える」シンポジウムがあった。筑前町で昨年10月、中学2年生の長男啓祐君(当時13歳)を亡くした森美加さん(36)も参加し「お父さんお母さん、先生方にお願いがあります。子どもたちに『(あなたは)大事な存在だ』ということを伝えてください。わが子だけでなく他の子にも」と訴えた。また教育学の専門家や教師も実情を報告した。【高橋咲子】
森さんの家族は啓祐君が亡くなって初めて、いじめに遭っていたことを知った。森さんは「以前は自殺する勇気があれば何でもできると思っていた」と明かし「子どもは、いじめという問題で生きる気力がなくなった。決して弱かったわけではない」と話した。
いじめる側については「『いけないこと』と知りつつ、次のターゲットになるのが怖くて繰り返す」と指摘。「大人はいじめられる子、いじめる子の心の叫びを受け止めてあげることが大事だ」と続けた。
最後に、葬儀前に夫婦で体を抱きしめたことに触れ「私たちには息子を守れなかったという後悔ばかりがある。子どもは自分を認めてくれる人を探しています。いじめられる子もいじめる子も社会の被害者。いじめをなくす社会を目指すことが大人たち全員の課題です」と締めくくった。
宇美中の田島靖教諭は「自分が教師になった30年前と異なり、研修や書類報告などで子どもたちと接する時間が少なくなっている」と指摘。子どもはちょっとしたことで悩みやすく、異年齢で遊ぶ機会が少ないためコミュニケーション力が弱くなっていると話した。
いじめ問題の著書がある大東文化大の村山士郎教授は「遊びや、からかい的性格を持つのが今日のいじめの特徴だ。からかいが重大な問題につながる場合もあることを認識する必要がある」と話した。〔福岡都市圏版〕
2月19日朝刊