武雄市は20日、経営形態変更の方針を示していた「武雄市民病院」について、2010年2月をめどに民間へ移譲する方針を明らかにした。6億円を超える累積赤字解消や深刻な医師不足への対応が急務となったことなどを理由に挙げている。6月に経営を引き受ける事業者を公募、病院の運営方針などを聞いて選考し、決定する。公立病院の民間移譲は県内では初のケースとなる。
樋渡啓祐市長が会見で明らかにした。民間移譲を選択したことについて、医師不足で救急医療を四月から休止するなど、中核医療機関としての機能を果たせなくなっていることへの対処と、累積赤字を含む病院運営の費用を挙げ、「人材確保、育成にノウハウのある民間が適している」とした。
独立行政法人化については「医師派遣が大学頼みという形は変わらず、医師不足の抜本解消にならない」として見送った。
移譲事業者は公募で選考する。6月2日に公募要領を公表。事業者が診療体制など病院運営の内容を提案するプロポーザル方式で行う。医療や経済関係者などでつくる選考委員会で、同月下旬までに移譲先を決める。
要領は公表されていないが、現職員の雇用継続、救急医療の実施、現在の診療科の維持、医師の前倒し派遣などは必須条件になるとみられる。
樋渡市長は「医師不足で(病院存続には)一刻の猶予も許されない状況。民間移譲により医療体制の拡充が期待できる」と話した。
同病院は2000年2月に「国立療養所武雄病院」の経営を引き継ぐ形で開院。市は昨年11月、赤字解消や経営の効率化などを理由に、民間移譲か地方独立行政法人を新たな経営形態とする方針を打ち出していた。
【写真】会見で武雄市民病院を民間移譲する方針を打ち出す樋渡啓祐市長(右から二番目)=武雄市役所