|
京大病院の肺移植再開に向けて記者会見で抱負を語る伊達教授(京都市左京区・京大病院) |
京都大医学部付属病院(京都市左京区)は20日、脳死肺移植手術を受けた患者の死亡で2006年3月から自粛していた肺移植を再開すると発表した。岡山大から迎えた伊達洋至教授の下で肺移植チームを再編、患者の安全管理指針を見直し、学内の倫理委員会から再開が承認された。6月上旬にも2年3カ月ぶりに、6歳の女児への生体肺移植手術が実施される見込み。
京大病院の肺移植手術をめぐっては、中心となる呼吸器外科と、心臓血管外科、麻酔科など他の診療科や看護部門などとの連携不足が指摘されていた。
伊達教授の就任後、患者の安全管理指針を再検討し、術中の役割分担や指揮系統を明文化し、緊急時の連絡・連携など具体的な手順を盛り込んだ。さらに、実際の手術を想定したシミュレーションを行い、それぞれの役割と手順や連携を確認したという。
2月に伊達教授が肺移植の再開を倫理委に申請、5月2日に承認された。実施にあたっては、当面は一例ごとに倫理委が審査する。今回は生体肺移植のみの承認で、脳死肺移植は、生体肺移植の実施を重ねて安全な体制を確認してから、あらためて審査するという。
6月に手術を予定している女児は呼吸が極めて困難になる閉塞性細気管支炎で、母親が肺の一部を提供する。症状は深刻で、早期の手術が必要という。
中村孝志病院長は「手術再開まで時間はかかったが、安全性を確立するにはやむを得なかった。手術に向けて十分な準備をしたい」と話している。
06年3月の手術では、業務上過失傷害の疑いで手術に携わった医師3人が書類送検されている。
|