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2008年05月20日 

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トヨタグループが「パワーポイント」自粛令!?

 社内でも「かつてのような新幹線のグリーン車禁止令の復活か」という噂が駆けめぐった。ただでさえ、トヨタは現在、「あらゆる部門で無駄をそぎ落とす」と渡辺社長が明言するほどの、聖域なきコスト削減に乗り出している。研究開発費や設備投資までをも削減している最中だ。“パワーポイント自粛令やカラーコピー禁止令”があったとしても不思議ではないのである。

 もっとも、今年度のトヨタの減益要因の大半は円高という為替の影響(6900億円)であり、事業そのものが不振というわけではない。

 「何もそこまでやらなくても...」と思うのが人情だろう。なぜ、渡辺社長はかくも“過激”とも思える発言をしたのだろうか。

トヨタの敵はトヨタ
真の狙いは官僚主義の打破

 複数のトヨタ幹部やOBによるとその発言の真意は、どうやら別にありそうだ。あるトヨタOBは「その狙いは官僚主義の打破」と忖度する。

 かつて奥田碩取締役相談役は、「トヨタの敵はトヨタ」と語った。米GM(ゼネラルモーターズ)を抜き、世界一の販売台数獲得が目前に迫るなか、そのトヨタOBは「特に若い社員は、かつての苦労を知らない。何も考えずに慣例的、事務的に仕事を処理したり、部品メーカーなどの取引先に傲慢な態度を取るものも少なくない」と指摘する。

 別の幹部は「自ら範を垂れずに、サプライヤーにコストダウンを強要してもついてくるはずがない」という。月は満ちれば、欠けるもの。慢心や傲慢、油断、嫉妬。“世界一”になること自体が大きなリスクと感じるトヨタ首脳陣やOBは多い。

 「いまこそ、意識改革の絶好のチャンス」と渡辺社長は言う。その意識改革とは、原価低減という単なる“節約”に止まらない、もっと深い意味合いがありそうだ。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 山本猛嗣)

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