中国巨大地震のニュースに押しつぶされたか、大きな記事にはならなかった。2月、沖縄で起きた中3少女暴行事件の米兵に対する高等軍法会議の判決だ。
司法取引の結果、強姦、誘拐などの訴追は取り下げられ、「暴力的性行為」で禁固4年(実際には3年になるらしい)の判決が言い渡されたという。
この米兵は強姦容疑で逮捕されたが、少女側が告訴を取り下げたため、那覇地検は立件できず、米軍に身柄を預けていた。
軍人というのは国家に忠誠を尽くし、場合によっては生命をも賭す存在だ。そういう立場からしても、この犯罪は不名誉きわまりないものであって、軍法会議が厳しい判断を下したのは当然だ。相手は子どもである。夜中に繁華街で遊んでいて、米兵の誘いに安易に乗ってしまったという軽率さはあったにしろ、米兵の行為が指弾されるべきであるのはいうまでもない。
この事件で沖縄米軍は米兵に外出禁止令を出すなど厳しい対応を取った。告訴が取り下げられたため、日本の検察当局は立件できなくなってしまった(強姦は親告罪だ)が、米軍側が日本側の心情も理解して、きちんと対応したということだろう。この米兵は服役後、不名誉除隊となる。
それにしても、あれだけの騒ぎになった大事件だというのに、結末のこのあっさりとした報道ぶりはどういうことか。まあ、こういう厳しい判決になったのだし、少女の側としても一刻も早く忘れたいだろうから(忘れられるものではないだろうが)ということか。
あらためて指摘しなくてはならないのは、この事件を「反米・反基地」闘争に利用した反戦団体や一部のメディアの動きである。そのヒステリックなまでの反応はいったい何だったのか。
告訴取り下げの段階で、腰が折れたのか、一様に静かになってはいたのだが、この判決に対する反応もあまり聞こえてこない。
日本側が立件できないケースでも、軍としてはっきりさせるべきものは厳格に対応するのだということが、この一件でよく分かった。「軍法」なるものがない日本では、この感覚はなかなか理解されにくいのではないか。
日本側だけの司法体系の中では、この米兵は「不起訴・釈放」だったのだ。そのことを厳粛に受け止めたい。
以下、産経の記事。
沖縄の女子中学生暴行事件をめぐり、沖縄県の米軍キャンプ瑞慶覧(ずけらん)で開かれた高等軍法会議は16日、訴追された在沖縄米海兵隊のタイロン・ハドナット2等軍曹(38)に禁固4年の判決を言い渡した。2等軍曹が否認した強姦(ごうかん)罪は訴追が取り下げられたが「暴力的性行為」の罪を認めた。司法取引により最後の1年は猶予され、実質は禁固3年になるという。
軍法会議で2等軍曹は、2月10日夜、沖縄県北谷(ちゃたん)町の路上に止めた車の中で「中学生の下半身を下着の上から触った」と述べた。強姦など4つの罪は司法取引で検察が訴追を取り下げ、詳しい状況は審理されなかった。
2等軍曹はキャンプ・ハンセン(沖縄県金武町など)にある拘禁施設にいったん収監。どの施設で刑に服すかは、後日決まるという。
google_ad_section_end
- 女子中生暴行の沖縄米兵を不起訴、釈放 米軍が… (02/29 22:52)
- 海兵隊員を軍法会議に 沖縄の少女暴行事件で (04/25 09:51)
- 2等軍曹に禁固4年 「強姦罪」訴追せず 沖縄… (05/16 20:02)
http://hanasan.iza.ne.jp/blog/trackback/578789
2008/05/18 22:19
花岡様、こんにちは。
>あらためて指摘しなくてはならないのは、この事件を「反米・反基地」闘争に利用した反戦団体や一部のメディアの動きである。そのヒステリックなまでの反応はいったい何だったのか。
ヒステリックでしたか?受け止め方は人それぞれでしょうが、むしろ被害少女に非があったように書きたて、米兵の非道さがそれほどのことでもなかったかのように仕向ける一部メディアの動きのほうがよほどヒステリックだったじゃないですか。
しかもこのようなエントリーでお茶を濁そうだなんて、いかにも花岡様らしくて、思わず笑ってしまいました。やはり、「しつけが必要」なのは貴方のほうなのでは?
2008/05/19 02:14
> 日本側が立件できないケースでも、軍としてはっきりさせるべきものは厳格に対応するのだということが、この一件でよく分かった。「軍法」なるものがない日本では、この感覚はなかなか理解されにくいのではないか。
立件できないケース・・・。たしかに被害者が取り下げましたからね。
強姦や強制わいせつが親告罪な日本ならしかたないですよね。性的虐待の意味は理解していますか?
・・・で、あれほど書いていた事件そのものがなかったってのは、何処にいってしまったんですか?一応、事件があったって事は認めたんですか?花岡さん。
2008/05/19 08:27
おはようございます。
過去のエントリ見てきました。
曲解かもしれませんが、あのときの
「事件は無かった」は少女へのいたわりと受け止められます。
黙って見ている人のほとんどが理解者だと思います。
ストーカーにつきまとわれるのはいやですからね。
2008/05/19 12:13
花岡さま
>日本側が立件できないケースでも、軍としてはっきりさせるべきものは厳格に対応するのだということが、この一件でよく分かった。「軍法」なるものがない日本では、この感覚はなかなか理解されにくいのではないか。<
軍法があるからの極刑なのか、日本の世論を配慮しての政治的な判決なのか、いま一つわかりにくいように感じました。
2008/05/20 10:05
「政論探求」拝読しました。
「小さな政府」の勘所がスカスカで、消費者庁などとまたもや「大きな政府」を思わすようなことに力点を置く内閣の情けなさ。ガソリン税の瑣末に浮かれて徴税のグランドデザインを示すことなく惰性に任せる与野党。世の中少しずつしか直せないのは分かります。でもだからこそ、どちらに向かうのかきちんと舵を取って頂きたいものです。それは与党も野党も同じことだと思います。「小さな政府党」と「大きな政府党」への再編はできないのでしょうか?
2008/05/20 12:26
初めまして。庄子と申します。
本日の政論探求もうなずきながら拝読させていただきました。
私は、実際沖縄に住んでおり
>あらためて指摘しなくてはならないのは、この事件を「反米・反基地」闘争に利用した反戦団体や一部のメディアの動きである。そのヒステリックなまでの反応はいったい何だったのか。
という、花岡さんの指摘を目の当たりにしており、実態を知らずに匿名で皮肉っぽい反論のコメントを読むと「自分の目で事実を確かめてから名を名乗り反論すべきでは?」と情けない気持ちになりました。
また、実際沖縄の北谷(ちゃたん)町のアメリカンビレッジという場所では、週末の夜になると米兵目当ての女性達(時には高校生か中学生のような子も)が、コールガールのように派手な格好をして街角に立っていることを知っている方は少ないと思います。
地元の琉球新報と沖縄タイムスは、花岡さんの指摘通り、新聞紙上でこの事件を「反米・反基地」闘争に利用してました。
事件現場の目と鼻の先でおこなわれた県民抗議集会に集まった人達も、週末の夜に同じ場所に来れば、その異様な光景に我が目を疑うでしょう。しかし、それが事実なのです。
皮肉まみれの反論に負けずに頑張ってください。
だそうな・・・ [akira's room]
気持ちよく呑んで帰ってきたら、こんな記事が出てました。 例によって「はなさんのポリログ」より引用 あの沖縄米兵に禁固4年! 夜中に繁華街で遊んでいて、米兵の誘いに安易に乗ってしまったという軽率さはあっ…
【米兵少女暴行事件】保守を僭称する外道ポチどもは謝罪せよ【懲役3年】 [ステイメンの雑記帖 ]
今年2月に発生した米海兵隊兵士による中3少女暴行事件に関し、米軍高等軍法会議は 被告のタイロン・ハドナット2等軍曹に対し禁固4年の実刑判決 を下した! このおぞましい事件に関しては、たまたま基地問題が…
by yujis
あの沖縄米兵に禁固4年!