財務省は19日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)で、外務省を中心に強まる政府開発援助(ODA)の増額要求に反論する調査・分析を提示した。経済協力開発機構(OECD)の07年国別援助額実績で日本が前年の3位から5位に下がったことについて「国際機関への拠出の有無による一時的な要因で、(ODAの根幹の)無償資金協力や技術協力、円借款は前年と同水準」と指摘。「国民の税負担(租税負担率)に占めるODA実績で見れば、日本はフランスに次ぐ先進国2位」との試算も披露した。
さらに、財務省は日本のODA予算の執行調査結果も報告。タンザニアでの日本の無償資金協力による小学校建設で、1教室当たりの費用が約557万円と、英国のODAの同様の事業(1教室当たり約50万~70万円)の10倍前後と分析。「増額の前に事業効率化が先」(財政審委員)との見方を打ち出した。
政府の一般会計のODA予算は、財政再建を理由に9年連続で減額。11年度まで2~4%削減することになっているが、7月の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)も控え「外交の発言力を高めるのにODAは重要」(高村正彦外相)などと増額圧力が強まっている。【清水憲司】
毎日新聞 2008年5月20日 東京朝刊