クラスター爆弾:米、巨費投じ「新たな対策」

 【ワシントン大治朋子】不発弾が民間人を殺傷しているクラスター爆弾について、米国が多額の費用を投じ「新たな対策」を進めていることが分かった。米国務省高官が、毎日新聞など一部記者に明らかにした。高官は「人道的な視点で、新たな方針、新たな方法を開発している」と不発に終わる危険性の高いクラスター爆弾への対策に取り組んでいる姿勢を強調した。

 米露などを除く有志国は19日から、今年中の禁止条約作りを目指す軍縮交渉「オスロ・プロセス」の会議をアイルランド・ダブリンで開く予定で、高官の発言は、米国が独自の改善策に取り組む姿勢を見せ、オスロ・プロセスをけん制する狙いがあるとみられる。

 高官は「国防総省は方針の見直しを行っている」と強調。「市民をより一層保護するため、(不発率の)目標にどうすれば早くたどりつけるかを検討している」と述べた。

 米国防総省は01年1月、「05年以降に製造するクラスター爆弾の不発率は1%以下とする」との規定を定めている。高官は、この規定を指摘。不発率1%以下という「目標」を目指した対策を進めていることを示唆した。

 また、「進歩は完成していない。時間と資金が必要だ」とも述べ、時間や資金面で課題があることを明らかにした。

 英独仏などオスロ・プロセスに参加する主要国は、一部の例外を除いてクラスター爆弾を禁止することに大筋合意している。しかし米国は軍事的有効性を強調、同プロセスに参加せず、規制に慎重な姿勢を維持している。

 米国防総省が議会に提出した報告書(04年)によると、陸軍だけでもクラスター爆弾約400万発(子爆弾6億個)を保有。その9割以上が不発率の高い(3~16%)旧型となっている。

 米国は、不発に終わる危険性の高い旧型のクラスター爆弾を湾岸戦争(91年)やイラク戦争(03年)で大量に使用。多数の民間人や米兵が不発弾で死傷した。

毎日新聞 2008年5月19日 2時30分(最終更新 5月19日 2時30分)

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