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2008年5月20日 (火曜日)

優等生は学校に行かない時代

弾さんの「ガキにはケータイ持たせるべからず言う前に」を読んで。

何をするべきか、何をするべからずかグダグダ言う前に、まず先立つものをなんとかしろよ。

口を出したかったら、もっと金だしたら?

学校教育費の対GDP比が他国に比べて低いんじゃないの、というご指摘。そんな中では公立学校には期待できない、かといって私立に入れる枠は決まっているし、金銭的余裕がない……となると、「子供の教育は自宅で」と考える人が出てくるかもしれません。

これは極論ではなくて、既に米国では「学校には行かない優等生」が増えているとのこと。最近買った『マイクロトレンド―世の中を動かす1%の人びと』という本に、こんな解説があります:

子どもに自宅で教育を受けさせるのはなぜだろう。公立校がまったくの役立たずだと考えているのかもしれない。人々の多くはいまの教育制度に嫌気がさしている。薬物や銃器といった校内に潜む危険を嫌がっているのかもしれない(アメリカでは校内での発砲事件がどの国よりも多い)。

(中略)

こうしたことから、ホームスクールが増えている。いまのホームスクールがブームになりはじめた1970年代には、このやりかたを実践していたのはわずか2,000人ほどだったが、1999年(教育省が真剣にこの問題に取り組みはじめた年)から2003年までの間に、自宅で教育を受ける子どもは85万人から110万人まで、およそ30パーセントも増えた。

ホームスクール、つまり子供を自宅で教育することは米国の多くの州で合法で、これを肯定する人も多いのだとか(2001年の調査で41%の人々が肯定)。しかし教師の資格もない親が、自宅で教育なんかできるの?と感じてしまいますが、例によってネットの力がホームスクールをサポートしているようです:

おまけに、いまではインターネットのおかげで数千という授業計画が手に入る。さらに、家庭で教育を受ける子どもは孤独になりがちだが、インターネットのおかげで孤独を和らげることができる。これなら自分たちでもできる、というわけだ。

実際 Google.com で"homeschool"を検索すると様々なサイトがヒットします。現時点で最上位に表示されるのは、その名も"Homeschool.com"というサイト。「ホームスクールを始めるには」「カリキュラム」「教材」など、豊富なコンテンツが用意されているようですね。確かに「これなら僕等にも……」と感じる親は多そうです。

さて日本では、という話なのですが、Wikipedia の「義務教育」という項には

日本はあくまで「就学義務」であり「教育義務」という定義ではないので、諸外国によく見られるホームスクーリングは義務教育の履行とはみなされない。

とあり、米国型のホームスクールは法律違反と見なされるようです。ただし

上記のように就学義務は保護者などの義務であり、当事者の義務ではないとされている。こういった制度であるため、本人が自由意志で欠席を選択するのであれば、本人・保護者ともなんら罰則は課されないことが問題視されている。

とも解説されていますので、児童の自由意志であれば罰せられることはないようです(どなたか法律に詳しい方、解釈が間違っていたら指摘して下さい)。であれば、現行の法制度のままでも米国型のホームスクールが増える可能性はあるのかも。

「いや、学校は勉強するだけでなく、集団生活など他のスキルを学ぶ場でもある。ホームスクールなんて認めない」という方も多いでしょう。個人的にも、仮にホームスクールが明示的に合法化されたとしても(そして大学受験等で差別を受けないとしても)、自分の子供は従来型の学校に通わせようと感じると思います。しかし上記のように、肝心の「従来型の学校」というものに対する信頼感が失われつつある状況です。学校でイジメを受けたら集団生活も何もないですし、一方で他人との交流なら学校以外のコミュニティで行うことができるでしょう(習い事やスポーツスクール、ボーイ/ガールスカウトなど)。それを考えれば、日本でも「子供は自分で教育したい」という人が増える可能性はあるのではないでしょうか。

さらにオープンコースウェアなどの例を出すまでもなく、ネットを通じて知識を得たり、コミュニケーションを行うことがはるかに容易になっている時代です。「日本の公立校に通わせるぐらいなら、ネット上に公開されているオンライン教育の方がマシだ。英語も学べるし」などと、子供をオンラインで教育することに積極的な評価がなされる時代も来るかもしれません。

ということで、実は日本の公立校は私立校と競争するだけでなく、ネット上にあるバーチャル・スクールと比較されてしまう時代に入るのかな、と感じた次第です。「義務教育を受けさせない」という極端な行動に走る人は少なくても、ネットで世界中から補助教材を探してきて、自分の子供に受けさせるという「ホーム学習塾」程度の行動を取る親は多くなるかもしれませんね。

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