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【主張】成田開港30年 国際国内分離も見直す時
成田空港が開港して30周年を迎えた。
地元自治体との調整難航や反対派農民の強い抵抗などで、建設決定から12年を要する難産の開港だった。それが今や、年間利用客数で3500万人を超す文字通り日本の表玄関へと成長した。その成果は評価されてよかろう。
だが、さらなる飛躍には厳しさがつきまとう。改善が進んだとはいえ、世界の主要空港に比べ、都心から遠過ぎる欠点を補うためアクセス向上は不可欠だ。
なにより、国を代表する空港として見劣りがする発着能力の大幅拡充を急がなければ、来年度に予定される空港会社の完全民営化計画にも支障が出かねない。
成田空港の発着枠は現在、年間20万回だが、第2滑走路の延伸にめどが立ったことで、2年後には22万回まで拡大する見通しだ。それでも、グローバル化の進展で増大一方の航空需要には焼け石に水だと言わざるを得ない。
とりわけ経済成長が著しいアジア地区では、航空需要が今後も右肩上がりで高まると予想される。それを見越し、中国、韓国、シンガポールなどでは、早くも空港施設の増強が急ピッチで進む。それに比べて日本の立ち遅れぶりはあまりに際立っている。
空港会社の試算では、延伸後の運用次第では現在の1・5倍にあたる30万回まで発着枠拡大は可能という。だが、騒音被害の増大を懸念する地元の一部自治体などは早くも反発の声を上げており、先行きは不透明のままである。
成田空港のライバル、羽田空港でも再拡張工事が進み、2年後には発着回数が約41万回と現在から3割以上増える。その際には増加分の半分程度が国際便に割り当てられる可能性がある。
日本は長年、「国際線は成田、国内線は羽田」とする内際分離を基本政策にしてきた。しかし、利用者にはアクセスの利便性ではるかに勝る羽田の国際化推進を求める声がもともと根強い。
国際、国内のすみ分けは利用客にはやはり不便だ。ひとつの空港で自由な乗り換えが可能になれば、内外からの航空需要はさらなる拡大も見込める。
羽田の国際化とともに、30歳を迎えた成田もまた、国内線とのアクセス網改善に取り組むべき時がきている。開港30年を機に、日本の航空政策そのものが見直しを迫られよう。