四川大地震から1週間、「奇跡の生還」が続々と報じられている。生への執念と懸命な救助に頭が下がるが、その大々的な報道は、逆に奇跡の望みを絶たれた膨大な犠牲者が出た悲劇の裏返しである わが「日の丸援助隊」も奇跡の望みをかけて出動したが、もう撤退した。中国側の対応に、「不信はないが、不満はある」と語った隊長の言葉が気にかかる。遅すぎた要請に加え、現地でどんな摩擦があったのだろう 広い領土と多くの民族を1党独裁政権が治める中国の姿を、「大国の悲しみ」と教えてくれた人の言葉を思い出す。その悲しみが一気に噴き出た大地震である 隣の国からはうかがい知れぬ共産党政権の不思議さは、いくらもある。救援隊と交代する医療チームの要請にしても、なぜこうまで後手に回るのか。聖火リレーであれだけ愛国心をたぎらせた若者を、なぜこぞってボランティアに送り込まないのか 生き埋めになった女性が、壊死(えし)した足を切断する荒療治を施されて救出されたと報じられた。足より命である。が、このままでは、広い被災地が命の通わぬ「壊死」にならないか。
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