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エコポイント:身近な貢献で 温室効果ガス削減へモデル事業

 温室効果ガスの排出量が少ない製品やサービスの購入・利用でポイントがたまる「環境(エコ)ポイント」の導入に向け、モデル事業が動き出した。環境問題に関心のない人にも環境配慮型商品を購入してもらい、家庭部門の温室効果ガス排出削減につなげようという試みだ。【大島秀利、足立旬子】

 ◆省エネ分買い取り

 京都府は家庭の省エネによる二酸化炭素(CO2)削減分を企業が買い取り、その企業の削減量にカウントできる「京都エコポイント」のモデル事業を今秋に始める。

 京都府は06年に地球温暖化対策条例を施行し、原油換算で年間1500キロリットル以上を消費する事業所を対象に、温室効果ガスの排出量削減計画書の提出を義務付けている。06年度は264社が提出し、全体では前年度に比べ、2・3%削減した。しかし、92事業所は排出が増えていた。条例では事業所が取り組む森林保全や自然エネルギーを利用した電力や熱の供給を、削減分とみなしている。この代替削減の一つとして、エコポイントからの購入分を加えることにした。

 想定では府地球温暖化防止活動推進センター、商工会議所、工業会、金融機関が参加した「京都CO2削減バンク」が運営主体となる。バンクは家庭の電気とガスの省エネ分を計算し、クレジットカードにエコポイントを与える。府民は協力店などで買い物をし、ポイント分の割引を受けられる。

 削減分を購入した企業には認定証も発行され、催しなどで環境への配慮をアピールできる。モデル事業は3000世帯で実施し、地元企業を中心に20~30社が参加を予定している。参加を予定する村田製作所は「企業でも家庭でも温暖化防止への活動が活発化するはず。さらに、多くの従業員が暮らす隣県との協力を検討してほしい」と話す。

 ◆鉄道の利用促進

 横浜市と東京急行電鉄は昨年10月から約2カ月半、マイカーの代わりに地下鉄を利用した市民に、ICカード型乗車券の「スイカ」や「パスモ」へポイントをつける社会実験を実施した。

 同市都筑区の港北ニュータウンで土日祝日、市営地下鉄を使って東急百貨店を訪れるとパスモなどに「横浜環境ポイント」を付与。環境学習会への参加や区民まつりにはしを持参した人も対象にした。ポイントは市営地下鉄の乗車券や動物園の入場券、クレジットカードのポイントとの交換や、同区内の商店70店舗が加盟する地域通貨「都筑リーフ」でも利用できた。

 ところが、利用者は延べ約1万2000人で、当初見込みの延べ7万人を大きく下回った。市は原因としてPR不足や、利用日の限定など使いにくさをあげる。一方でアンケートによると、電車の利用者のうち、4割がポイントをためるために電車を利用したと答え、マイカーから電車への乗り換えを一部後押ししたことも分かった。

 実験の総事業費2500万円のうち、2000万円は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの補助だ。2年後の本格実施を目指しているが、ポイントの原資を市が負担し続けるのは困難で、同市地球温暖化対策本部は「実験を踏まえ、もっと使いやすく、自立できる仕組みを考えたい」と話す。

 ◆規模の拡大必要

 環境省はエコポイントモデル事業を全国から募集し、京都府も含め13件を今年度に選定した。全国展開型では、クレジットカード大手のジェーシービー(JCB)が省エネ家電の購入などでためたポイント分を、買い物で使える仕組みを提案。会員は初年度5万人、5年後に300万人を目指している。

 航空、クレジットカード、携帯電話など既存のポイントの国内発行総額は少なくとも6600億円(06年度)あり、今後も拡大するとみられている。すでにあるポイント市場にエコポイントが埋没しないためには規模の拡大が必要という。

 環境省のエコポイントに関する検討会のメンバーで環境NPO「エコロジーオンライン」の上岡裕代表は「環境に良いサービスや商品が売れ、多くの企業が原資を持ち寄りたいと思うような魅力的な仕組みをつくるのがカギ」と話している。

毎日新聞 2008年5月19日 東京朝刊

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