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韓国で日本家屋保存の動き 「過去の清算」を反省? (2/2ページ)

2008.5.19 19:27

 韓国で日本統治時代の日本家屋は「敵産家屋」と呼ばれる。一般家屋は開発で姿を消すなか、まとまって残存しているのは全羅南道・木浦(モッポ)や全羅北道・群山(グンサン)が知られ観光名所ともなっている。開発から取り残されたことが残った大きな理由だが、近年、再開発の動きに「日帝の残滓(ざんし)は壊して開発すべきだ」とする地元住民と、「歴史は保存しなければならない」との自治体や学者、市民との意見対立も起きている。

 韓国の歴史学や建築学の若手学者の間では、90年代後半から「韓国の近代史を見直そう」という機運が出ており、日本統治時代の建物なども生活史の視点からの研究が注目されるようになってきた。そんななかで、2001年にできた登録文化財法が成立。歴史的な文化財を保護する指定文化財に漏れた「50年以上の文化財」を支援する法律だが、建物は年代的に日本統治時代のものが多い。九龍浦の日本家屋通りも約10棟が登録文化財に決まった。

 ソウル市で目下、登録文化財に指定されて注目されているのが、旧日本軍の官舎2棟だ。たまたま住宅再開発地にあったため、現在、移築中だ。官舎指定を推薦した京畿大・建築大学院の安(アン)昌模(チャンモ)・准教授は「軍官舎としては現存する最後の建物だ。確かに日本時代の建築物は韓国で感情的には無条件に拒否されてきたが、韓国は朝鮮戦争も経験、高度経済成長もあって歴史的建築物の多くを失ってきた。客観的に過去の遺産を保存しようというのは当然のことだ」と述べる。

 ソウルにはソウル駅はじめソウル市庁舎(旧京城府庁)など日本時代の公共の建築物が残っている。市庁舎は3年後に地上22階の新市庁舎が完成するが、旧庁舎は登録文化財に指定され、将来は図書館になる。「残滓は壊せ」との声はいまや聞かない。

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