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韓国で日本家屋保存の動き 「過去の清算」を反省? (1/2ページ)
【ソウル=久保田るり子】韓国で、旧日本統治時代(1910〜45年)の日本家屋が観光資源や文化財として見直されている。金泳三政権時の95年には旧朝鮮総督府だった国立中央博物館の建物が「過去の清算」の象徴として解体されたものだが、時代は変化し、植民地時代の遺物を無条件に壊してきたことに「反省」の声さえ聞かれる。“過去への視線”は確実に変わりつつある。
日本海に面した韓国東部、浦項(ポハン)市は旧浦項製鉄(現ポスコ)で知られる製鉄の街。この海岸沿いの集落、九龍浦(クリュンポ)に日本家屋通りが残っている。近海がニシン、イカなどの猟場だったこの地は1920−30年代に香川県などから集団移住が行われ1100人ほどの日本人が暮らした。だが戦後、開発から取り残され、80年以上の風雪を経た日本家屋が大正時代の窓格子や引き戸、床の間やタンスまで当時のままだ。
毎年、台風が来るたびに一軒、二軒と家屋は倒壊。約80軒が現在は20数軒に減った。「日帝(日本統治)時代のものであっても、歴史的な地元の文化財は保存すべきだ」と声を上げた一人の徐(ソ)仁萬(インマン)さん(50)ら市民運動が始まったのは約3年前。2年前に朴(パク)承浩(スンホ)市長(50)が当選後は「当時の様子を復元して観光資源にしたい」(朴市長)と昨年から取り組んでいる。