二席

 

二席

 

二席

 

一席

 

一席

 

一席

 

特選

保坂 泰子(六〇歳)

十日町市



除雪車と雀の声の飛び交ひぬ 妻有の里にも春間近なり

安木沢 修一( 五二歳)

長岡市

春なれば春の風あり情あり 一本道が永遠の道へと

渋谷 善雄( 八一歳)

新発田市

番所坂越え薄暗き森通り母の里行く杳(とお)き幼な日

伊藤 聡子(四四歳)

新潟市西区

この道は吾と故郷(ふるさと)つなぐみち
     阿賀の流
れを溯るみち

辻 二郎(六四歳)

新潟市北区

新潟という字を見つけ出かせぎの場末えの食堂
     週刊誌読む

横山 正子(二五歳)

新潟市西区

日を拝む翁の顔に年輪の如く皺あり
      能生浜の夕

小林 桂治(七五歳)

上越市

 吹雪く野の道を童ら分校に数珠玉のごと連なりてゆく



選者  長谷川富市氏


特選

「吹雪く野の・・・」は、「数珠玉」の喩が大変よく、吹雪の野中を懸命に登校する

学童の姿を的確に据えており読者に迫るものがあります。


一席

 「目を拝む・・・」は、翁の顔が
「年輪の如き皺」によって、くきやかに描写されています。
結句の「能生浜」も良い。

「新潟
という・・・」は出稼ぎで故郷を離れている者の心情を素直に表し、心に沁みる佳い歌です。

「この道は・・・」は作者の心躍りが「みち」の反復表現によりよく伝わります。
結句は
川を遡上する鮭を連想させます。


二席

「番所坂・・・」は上句の時代がかった怖さと暗さが遠い
母に陰影を与え一首を奥深いものにしています。

「春なれば・・・」はとても上手い歌。春
の気分をよく出していますが、「情けあり」を嫌う人もいるでしょう。

「除雪車と・・・」は、除
雪車の音とすずめの鳴き声の取り合わせが新鮮です。
雪深いなどとは言わず「妻有」といったところも成功。


   
他にも良い歌がたくさんありました。次回も多くの佳作が集まることを期待します。