「医療安全」を合言葉に、医療にかかわる団体が手を結んだ。2004−06年に米国で展開された“10万人の命を救え”キャンペーンをモデルにした全国的な取り組み「医療安全全国共同行動“いのちをまもるパートナーズ”」のキックオフ・フォーラムが5月17日、東京都千代田区の経団連ホールで開催され、会場には約400人の医療関係者が駆け付けた。医療事故の原因を調べる第三者機関「医療安全調査委員会」(仮称)の設置に向けた動きが活発化する中、医療事故を未然に防ぐ取り組みがスタートした。
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医療安全の共同行動がスタート 「医療安全全国共同行動」は、医療の質・安全学会が昨年11月に提案し、日本病院団体協議会、日本医師会、日本看護協会、臨床工学技士会が賛同。これら5団体が中心となり、5月からの2年間をキャンペーン期間として、医療安全対策を全国の病院に普及させることを決めていた。
開会のあいさつで、医療の質・安全学会の高久史麿会長(自治医科大学長)が米国での取り組みを紹介。「米国の『医療の質改善研究所』と、その呼び掛けに応じた多数の団体の協力により、全米で約5500ある病院のうち3100の病院が自主的に参加して改善に取り組んだ結果、18か月間のキャンペーン期間中に入院中の死亡数を大幅に減らすことに成功したという報告がある」と述べ、日本でも同様の活動を展開する必要性を訴えた。
その上で、高久会長は「今こそ医療者は職種や立場の壁を越え、医療を担う病院と医療を支えるさまざまな団体、学会、行政、地域社会が一致協力して取り組むべき。医療にかかわるすべての人々にご参加いただき、共に力を合わせて医療事故の防止と信頼される医療の確立を実現したい」と呼び掛けた。
続いて、医療安全調査委員会の創設にかかわっている厚生労働省医政局総務課の佐原康之医療安全室長があいさつ。昨年4月施行の改正医療法で「医療安全対策」がすべての医療機関に義務付けられたことに触れながら、「具体的な対策は大きな病院と小さな病院、診療所、助産所などで違う。スタッフの数もいろいろで、外科や内科などの診療科によってもさまざまだ。各医療機関の状況や地域の実情によって、取り得る対策は千差万別なので、役所があれこれ言うよりも、むしろ病院団体や学会など医療界が中心となって進めることが重要だ」と述べ、医療関係者の自主的な取り組みに期待を寄せた。
次いで、「医療安全全国共同行動」に参加した4団体があいさつ。日本病院団体協議会は竹内正也氏(全国公私病院連盟会長)、日本医師会は宝住与一副会長、日本看護協会は井部俊子副会長、臨床工学技士会は川崎忠行会長が医療安全の全国的な取り組みに向けて抱負を述べた。
キャンペーンの目標は、(1)全病院の3分の1に当たる3000病院の参加登録(2)キャンペーンの推進拠点30病院(3)医療行為に伴う何らかのダメージ(有害事象)の30万件以上の低減(4)入院死亡者数の1万人以上の低減―など。
各病院の院長が「医療安全全国共同行動」のサイトに登録すると、病院ごとの「マイページ」が自動的に作成され、医療事故の防止につながる情報を病院同士で共有できる。インターネットの双方向性を活用して、医療事故の撲滅を目指す。「医療安全全国共同行動」への登録の受け付けは5月19日の夕方から。
詳しくは「医療安全全国共同行動」のホームページで。
http://kyodokodo.jp/
更新:2008/05/19 14:31 キャリアブレイン
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08/01/25配信
高次脳機能障害に向き合う 医師・ノンフィクションライター山田規畝子
医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。