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中国の汚染で日本のオゾン12%増 2020年予測
このニュースのトピックス:汚染、公害
海洋研究開発機構は24日、東アジア地域の大気汚染物質排出シナリオに基づくオゾン濃度の将来予測結果を発表した。中国が現状のペースで大気汚染物質を排出し続けた場合、光化学スモッグの主成分とされるオゾンの濃度が日本の広範囲で上昇すると予測され、2020年の予測データを2000年の実測データと比較すると、東京や大阪などの本州中部で最も濃度が高まる夏季(6〜8月)に、平均約12%上昇するとしている。
オゾンは、火力発電所や工場、自動車などから排出される窒素酸化物(NOx)などの物質が、紫外線に反応することで生成される。
昨年は新潟県や大分県で初の光化学スモッグ注意報が発令され、原因として、中国で排出された汚染物質が偏西風によって運ばれる「越境汚染」が指摘されている。
同機構の研究グループは、中国の研究所などが算出した将来のエネルギー利用を基に、NOxの排出量を予測。気象状態などを加味し、地上から高度2000メートルまでのオゾン濃度を、東アジアの地図上に反映させた。
その結果、日本国内で予測されるNOxの排出量削減を織り込んでも、中国の経済成長を考慮したモデルでは、東京や大阪など本州中部で、夏季3カ月のオゾン濃度が2000年の49・6PPB(PPBは%の1000万分の1)から55・7PPBに上昇する。
特に九州地方など中国に近い地域では、最大で14PPBも濃度が高くなり65〜75PPBに達すると推定された。
環境省の環境基準は、主にオゾンから成る光化学オキシダントの濃度を60PPB以下と設定している。
同機構の秋元肇プログラムディレクター(68)は、「中国のせいにするだけでなく、何らかの対策を取らなければならない」と話している。