保険金支払い請求棄却 「事故偶然性立証されず」軽乗用車を運転中に大型トラックと正面衝突して死亡した会社員女性=当時(30)=の事故を、保険会社が自殺と判断して保険金1000万円を支払わないのは不当として、秋田県潟上市の遺族が保険会社に支払いを求めた訴訟の判決で、秋田地裁は15日、請求を棄却した。抑うつ状態などと診断され、精神的に不安定だった女性による事故の偶然性が争点となった。 和田健裁判官は(1)女性が事故直前に精神的ショックを受けていた(2)自宅と反対方向に走行し、ブレーキを踏まず故意に対向車線に進入したと考えられる―ことから自殺を疑わせる事情があったと認定。「自殺とは断定できないが、原告は疑念を反ばくできる立証をしておらず、事故の偶然性も立証されていない」と指摘した。最高裁判例は、偶然性の主張立証責任は保険金の請求者にあるとしている。 判決によると、女性は2004年5月、自殺行為によって生じた傷害には保険金を支払わない保険額1000万円の傷害保険を契約。同年9月6日午前3時50分ごろ、横浜市の国道16号で軽乗用車を運転中、対向車線にはみ出して大型トラックと衝突、胸を打って死亡した。 原告は別の保険会社に対しても同様の訴訟を起こしたが、秋田地裁は08年2月、保険金の請求権が時効で消滅しているとして棄却した。原告は仙台高裁秋田支部に控訴している。
2008年05月16日金曜日
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