女性の健康 50話

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続・女性の健康50話:第8話 更年期、体調崩して当然

 前回は出産について述べました。同じように、閉経の時期に体調を崩される女性がたくさんおられます。これも当然、女性ホルモンを中心とした生理変化が主であり、身体的にも精神的にも大きな影響があります。しかし、それ以外に、この年代の女性特有の心理社会的な問題が重なります。

 50歳前後では、20歳代半ばから30歳に子供を産んだとすると、末の子供までが独り立ちする時期です。夫と二人だけになった場合、この時期の夫は定年まで間があり、体力は衰えているのに、職場で責任が増して奮闘、家庭内の妻を振り返る余裕のない場合が多くあります。また、義父母、実父母を80歳前後で亡くされることがしばしばあり、そうでない場合でも介護の問題を抱えることがあります。

 少し意外ですが、最近よく出会うのは孫の世話で疲れ果てている女性です。孫はかわいいのですが、世話がつらくなっても嫌だとは言えなくなっているのです。

 このように眺めてみると、女性の閉経の時期は体調を崩してあたりまえのように思えてきます。体調を崩した女性がそのことを訴えたとき、「更年期なんじゃない」「更年期だからしかたがない」などと言われると、たまらない気持ちになることでしょう。

 「いろいろ抱えていてたいへんなのに、更年期でからだの症状もあってたいへんだね」というように、閉経以外の状況にも気を配ることができればと思います。(関西医科大学心療内科学准教授・福永幹彦)

毎日新聞 2008年5月18日 大阪朝刊

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