人手不足が深刻な医療現場の問題点を考えるシンポジウム(県医療労働組合連合会主催)が17日、熊本市水道町の県婦人会館であった。県内の病院に勤める看護師ら約80人が参加した。
県医労連によると、過酷な労働環境で医師や看護師の早期離職が後を絶たず、いつ医療事故が起きてもおかしくない危機的な状況にあるという。
厚生労働省は06年から「患者7人に看護師1人」の看護配置基準を満たす医療機関への優遇措置を導入した。しかしパネリストの一人で熊本市神水のくわみず病院の岡靖子看護師は「患者のケアは充実したが、人数の確保が難しい。看護師が離職すると新しい人が来るまで休みを削って態勢を維持することもある」と指摘した。
国立病院機構熊本医療センターの斉藤まり子看護師は救急医療の問題を報告し「急患受け入れは限界だ。患者が多いため臨時ベッドを入れ、当直医と日勤を終えた研修医がボランティアで対応している」と話した。
また、熊本市龍田のくすのきクリニックの板井八重子院長は「女医が妊娠・出産を機に仕事を辞めざるを得ないケースが多い」と話し、働き続けられる病院環境の整備を求めた。【門田陽介】
毎日新聞 2008年5月18日 地方版