★和久井キャスター
滝川市の女の子のイジメを苦にした自殺が明らかになってから、
福岡でも、13歳の中学生が遺書を残して自殺してしまいました。
後手に回った学校と教育委員会。
きょうは、滝川市の事例を改めて検証します。
★VTR
【担任教師の自宅を訪問】
複雑な家庭環境にあった自殺した12歳の少女。
女の子は、学校でどんな子供だったのか当時の担任教師を訪ねました。
(担任とやり取り)
記者「先生と児童が仲がよかったと、心を開いていたと聞いたのですが」
担任「ひきとってください」
記者「事実を教えてください」
担任「申し訳ありませんが、教育委員会や学校に全部話してあります」
記者「この件については、お話できませんか?」
担任「できる状態にありません」
この教師は、女子児童の同級生が中学に進学した今年4月、別の小学校に転勤しました。
滝川市内の小学校に勤務していたのはわずか2年間でした。
【滝川市長や教育長が遺族宅で謝罪】
(滝川市・田村弘市長)
「申し訳ありませんでした」
【女児の遺影】
滝川市の田村市長や教育委員会が、女の子の遺影に手を合わせたのは今月5日。
去年9月9日の自殺から、1年以上が経過していました。
【女子児童が通っていた小学校】
女の子のクラスは29人、小学校は1学年1クラス。
過疎化が進む地域のため、幼稚園から中学校まで、クラスメイトはほとんど同じ顔ぶれだといいます。
同級生が、電気コードで首をつった女の子を見つけたのは、授業開始前のことでした。
【女子児童の遺書】
教卓の上には、母親や学校に宛てた7通の遺書が残されていました。
【滝川市議会・議場】
3日後から開かれた市議会でも、この問題は取り上げられます。
教育委員会の対応への質問に、教育長がこう説明しています。
(滝川市教育委員会・安西輝恭教育長の答弁再現)
「情報管理がし過ぎではないかというようなこともあったのですが、
別に隠すつもりはございません。とにかく、子供に静かな環境を確保したい…」
【女子児童が通っていた小学校】
こうした教育委員会の姿勢に不満を持った遺族は、
1か月後の10月12日、小学校を訪れて、校長と教頭に遺書を読み上げます。
(遺族)
「(学校とは)認識の違いがかなりある。確認できないとか解決したとかそんなのばかりです」
【滝川市議会・議場】
その2か月後の市議会で再び、この問題が取り上げられました。 3分33秒
(滝川市教育委員会・安西輝恭教育長の答弁再現)
「現状として残念ながら原因を特定するまでにはいたっていないと。
今後も究明を図っていきながら隠ぺいとかそういったことは決していたしません」
(質問をした市民クラブ・水口典一議員)
「この段階(去年12月)で、ある程度新たな真相があって、
原因究明に繋がる材料が出て、終盤にきていると思っていたが、
結果としては何の進展もなく同じ状況で推移していた」
【女子児童が通っていた小学校】
学校では当時、同級生や教職員への聞き取りを進めていたといいますが、
その結果は、議会に報告されませんでした。
(女子児童が通っていた小学校の教頭)
「小さなトラブルは担任から報告を受けた…
その都度指導をして、解決したと聞いていた」
【遺書】
そして、ことし6月、自殺から9か月経って、
教育委員会は「遺書のコピー」を入手します。
【今月2日・滝川市教育委員会の会見】
(会見)
「お詫び申し上げます。お悔やみ申し上げます」
遺族が、遺書を報道機関に公開したことで教育委員会は初めて、口を開きました。
しかし、ここでも謝罪の言葉で始めながら、「いじめがあったかどうかは分からない」と説明します。
(滝川市教育委員会・安西輝恭教育長)
「今のところ、これというものは出てきていない」
教育委員会は、このとき、必要があればさらに調査すると話しました。
【伊吹文明文部科学大臣の会見】
教育委員会の態度が豹変するのは、翌日の伊吹文部科学大臣の発言を受けてからのことです。
(伊吹文明文部科学相)
「子供がそういうことを訴えていたことを、公表せず握りつぶすことはあってはならない」
【電話対応に追われる滝川市教育委員会】
教育委員会には、全国から抗議の電話やメールが殺到していました。
【今月5日・滝川市教育委員会の会見】
「いじめは確認できない」と、発表してからから僅か3日後。
(滝川市教育委員会・安西輝恭教育長)
「児童が残した遺書を踏まえ、いじめであると判断した」
1年間判断できなかった事を、3日で判断したのです。
(記者と安座粋会見のやりとり)
記 者「何があったんですか、月曜日から今日まで?」
教育長「遺書を考えながら、総合的に判断した」
(滝川市教育委員会・安西輝恭教育長)
「多くの皆様から意見をいただき、早く結論を出さなければと考えたのは事実でございます」
さらに、再調査をしたというよりは、早く事態を収拾したいとの意向だったとしか思えないような意見の食い違いも露見します。
(女児が通っていた小学校の校長)
「私は、今回の自殺の原因が全ていじめであるという判断はしておりません」
「(いじめ以外の要因は?)いじめ以外の要因は、私も把握しておりません」
【滝川市教育委員会・安西輝恭教育長】
(滝川市教育委員会・安西輝恭教育長)
記 者「2日〜5日の会見で見解が変わりましたが、何があったんですか?」
教育長「説明した通りです」
【今月13日・市民説明会】
先週金曜日に教育委員会が開いた市民への説明会。
(滝川市教育委員会・安西輝恭委員長)
「責任を取らせていただきます」
この日を最後に、安西教育長は職を辞しました。
【女児遺影】
遺書を残して命を絶った少女と教育行政―。
滝川市教育委員会は、教育長の辞職によって、一応の結論を出したとしています。
★和久井キャスター)
ここに文部科学省のデータがあります。
「いじめを主な理由」とする小・中・高校生の自殺は、統計上、1998年を最後にゼロだそうです。
滝川のケースも報道されなければ、「いじめではない」ケースになっていたのでしょうか…。
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