食品値上げが相次ぐ中、安定しているのが塩の価格。食卓塩市場の約6割のシェアを握る財団法人・塩事業センターは、92年から食卓塩の出荷価格を100グラム=50・2円に据え置いている。ただ、海水を煮詰める工程でより手間がかかる粗塩は原油高が響き、ある業者は「どこかが先陣を切れば値上げラッシュになる」と話す。
一方、89年で1キロ=185円だった上白糖の卸売価格は、精糖メーカーの合理化努力や輸入糖にかけられる調整金の減額で下がってきた。しかし、03年からは調整金が元に戻り、サトウキビ価格も徐々に上昇。2年ほど前からはバイオ燃料需要がサトウキビ価格をつり上げ、砂糖価格を一気に押し上げた。
さらに、精製に必要な燃料用の原油急騰が加わり、精糖メーカーは4月に1キロ5円以上も再値上げ。卸値は一時、14年ぶりに1キロ=160円を超えた。国産サトウキビが原料の高級砂糖「和三盆」も5月から約1割上がっている。
京菓子の老舗「俵屋吉富」(京都市上京区)は、包装・運送費の高騰で昨年2月に小倉あんを使う看板商品「雲龍」を105円値上げし、1365円にした。そこに、和菓子に欠かせない砂糖の値上げだ。石原義清社長(43)は「看板商品を短期間に何度も値上げするわけにもいかないし……」と頭を抱える。【赤間清広】
毎日新聞 2008年5月17日 東京朝刊