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TICAD 日本のアフリカ外交の意義
なぜアフリカなのか−。「成長」と「低開発」という2つの顔をもつアフリカには、貧困や紛争、感染症、環境破壊、食糧不足など国際社会が直面するあらゆる課題が凝縮されている。それらの解決なしにはアフリカがテロの温床になりかねない。日本が応分の貢献を行うことは国際的責務ともいえるからだ。
政府関係者は「TICADIVが失敗すれば、北海道洞爺湖サミットも失敗する」と指摘する。洞爺湖サミットではアフリカ問題のほか、地球温暖化や食糧問題なども主要議題に上る。日本はサミットまでに温室効果ガス削減に関する長期目標を打ち出す方針だが、2013年以降の「ポスト京都議定書」の枠組みを視野に入れた中期目標は「時期尚早」(町村信孝官房長官)との立場。欧州連合(EU)や米国は中期目標を発表しており、この問題で主導権を握れるかどうかは未知数だ。
対アフリカ支援策で積極的な姿勢を示しておかなければ、議長国の役割を果たせないまま埋没しかねない。政府は「40カ国以上のアフリカ首脳が来るので、日本として何ができるかを示さなければいけない」(外務省首脳)として、TICADでは対アフリカ援助増額を打ち出す方針だ。
一方、対アフリカ外交の成否は日本の国際的な影響力も左右する。国連安保理の常任理事国入りを目指す日本は2005年、ドイツ、インド、ブラジルとともに常任理事国拡大案の総会採決を目指したが、アフリカ連合(AU)との決議案一本化が難航し、採決断念に追い込まれた。また、06年の世界保健機関(WHO)事務局長選での敗北も「基礎票」と読んでいたアフリカ票の大半が中国人候補に流れたためだった。
「国際社会のルール作りや国際機関での地位を求めるなら、世界の国の数の3割を占めるアフリカの支持は不可欠だ」(外務省幹部)ととらえている。
石油や希少金属(レアメタル)など天然資源の供給源で、全世界の人口の14%を抱え、潜在的市場に位置付けられる側面を持つ点は言うまでもない。