8日午前1時45分ごろ、関東地方で強い地震があり、水戸市と栃木県茂木(もてぎ)町で震度5弱を記録、北海道から近畿の広い範囲で震度4~1の揺れを感じた。気象庁によると、震源地は茨城県沖で、震源の深さは51キロ、地震の規模を示すマグニチュード(M)は7・0と推定される。この地震で、東京都や千葉県など1都2県で計5人が軽いけがをした。【樋岡徹也、関東晋慈、神足俊輔、原田啓之】
東京消防庁などによると、東京都港区の男性(87)が落ちてきた花瓶が頭に当たって軽いけが。千葉県鎌ケ谷市でも、男性(25)が落ちてきた額縁で顔を打って鼻骨骨折などの軽傷。さらに、茨城県常総市の男性(18)が頭に落下したスピーカーで軽傷を負うなど、東京都と千葉県で各2人、茨城県で1人が軽いけがをした。
気象庁によると、震源周辺では、7日午後から地震活動がやや活発になり、今回の地震までに有感地震が計12回発生。この地域では1924年以降にM6・7以上の地震が計7回あり、いずれも本震の前後にM6級の前震や余震を伴うのが特徴で、今回も同じパターンだった。
阿部勝征・東京大名誉教授(地震学)は「地下構造が不均一なため、たまったひずみが一度に解放されず、何度かに分けて地震が起きるとみられる」と話している。
この地震の有感の余震は8日午前10時現在で10回。気象庁は「余震は1~2日ぐらい続き、震度は大きいところで2~3程度」と説明している。
主な各地の震度は次の通り。
震度5弱=水戸市、栃木県茂木町▽震度4=宮城県大崎市、角田市、岩沼市、石巻市、福島市、福島県郡山市、いわき市、会津若松市、茨城県日立市、ひたちなか市、土浦市、石岡市、つくば市、栃木県大田原市、小山市、埼玉県春日部市、千葉県銚子市、旭市、成田市、印西市▽震度3=盛岡市、仙台市、山形県酒田市、宇都宮市、前橋市、千葉市、さいたま市、東京都千代田区、横浜市、川崎市、長野県諏訪市
水戸市などで震度5弱を記録した地震で、気象庁は先月28日に続き、2回目の緊急地震速報を発表した。震源から水戸市までは約110キロあり、強い揺れの到達まで比較的時間があったが、発表は到達の約40秒後。1回目に続いて間に合わず、気象庁は「改良点の検討を進めたい」と説明している。
緊急地震速報は、地震計に最初に到達する初期微動から地震の規模などを分析し、大きな揺れの主要動が来る前に地震発生を知らせるためのシステム。
気象庁によると、今回は午前1時45分34秒に地震を検知し、9・3~38・2秒後段階での予測は震度3~4だった。より多くのデータが集まった58・3秒後、千葉県北東部で震度4~5弱との予測になって速報を出した。だが、水戸市には18・1秒後に強い揺れが到達していた。
横田崇・地震津波監視課長は「もう少し早い段階で大きく推定できなかったか、技術的な検討を進める」と説明した。【樋岡徹也】
この地震の影響で、茨城県神栖(かみす)市東和田(とうわだ)2の鹿島塩ビモノマー本社工場内にある塩化ビニール原料の製造プラントで、プラスチック製配管に長さ約7センチの亀裂ができた。霧状の塩酸が一時噴出したが、漏れたのは少量で、管制室内の作業員6人にけがはなかった。
また、つくば市の春日、東平塚地区の約2100世帯が午前3時ごろまで約1時間停電したほか、JR常磐線は線路の点検のため、勝田-上野間で始発から午前6時ごろまで上りに約10分の遅れが出た。【原田啓之】
毎日新聞 2008年5月8日 東京夕刊