南佐久郡川上村が2月下旬、同村川端下で放置されていたオウム真理教(アーレフに改称)関連の土地と建物を引き取っていたことが、16日までに分かった。破産管財人の要請を受け、松本サリン事件被害者らの救済の面から一部は300万円で購入した。ただ、建物撤去などに約1億円かかる見込みで、村は「村費を使う理由がなく、国に負担を求めていく」としている。
教団関連の土地と建物は、砂防ダム南側の標高約1300メートルの山林にある。1996年9月、男性信者が都内の会社名義で17・6ヘクタールを村民から購入。キャンプ場開発名目だった。プレハブ小屋2棟を建て、コンクリート製地下室が建設途中だった。実際に信者が使用することはなく、管財人の管理に移っていた。
今年3月末までに破産手続きを終える方針を決めた管財人側から昨年8月ごろ、村に買い取りの打診があった。村は「更地に戻せば買い取る」と交渉したが、造成費を出せない管財人側が応じなかった。村は17ヘクタール余のうち山林のままの16・6ヘクタールを300万円で購入。建物やその土地、建物内にあった重機や食品類などは無償で引き取った。
藤原忠彦村長は「被害者救済の面もあり、やむを得ず引き取った。(建物の部分を含めて)村有林にする。国に財政負担してもらうよう今後働き掛けていく」と話している。