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【主張】独禁法改正 アメもムチも強化は必要

2008.5.18 03:28
このニュースのトピックス主張

 今国会に独占禁止法の罰則を強化する改正案が提出されている。違反企業への制裁金を引き上げ、談合やカルテルへの抑止効果が狙いだ。

 経済界には罰則強化への不満が根強く残るが、健全な競争は経済の活力を生む。国会は早急に審議し、成立をめざしてほしい。

 今回の改正案では、カルテルや談合で主導的な役割を果たした企業には課徴金をこれまでの1・5倍とし、大規模な製造業者に対する課徴金の算定率も売上高の10%から15%に引き上げる。

 算定率を6%から10%に上げた2年前の前回改正に続く罰則強化である。さらに、時効までの期間も3年から5年に延長して摘発強化の姿勢を鮮明にした。

 公取委は前回改正によっても、期待した効果を着実に挙げてきた。公取委によれば、独禁法違反で調査に着手した件数は平成18年度で141件と、17年度に比べて約6割も増加した。

 企業が談合の事実を認めて“自首”してきた場合に課徴金の減免を認める制度の導入で、企業自らが談合情報を提供するようになってきた。これを受けて今回の改正では、減免企業数を3社から5社に拡充し、自己申告の時期についても、公取委の調査開始前という条件から、調査開始後でもかまわないとした。

 談合をなくして競争する環境を整え、企業にコスト削減や研究開発を促すことは、経済全体にとって有益である。今後も「アメとムチ」の使い分けによるメリハリのきいた法制度の工夫が大事だ。

 懸案となっていた審判制度の見直しについては、付則で「平成20年度中に検討し、所要の措置を講ずる」とした。自民党は基本的に廃止の方向と受け止めている。

 違反に問われた企業が、その処分に不服の場合、公取委が審判を開く。裁判の1審に相当するが、経済界はかねて「公取委が検察官と裁判官を兼ねるような制度はおかしい」と反発してきた。

 改正案の表現は公取委が一歩譲歩した形だ。ただ、企業の合併の可否については、公取委が「審判制度を残すべきだ」と主張し、国会での検討課題となっている。

 自由な競争環境の維持・整備には、「何が常識か」を判断する能力が問われる。公取委には不正と戦う果敢な姿勢とともに、公平な制度を実現する上での柔軟な対応を期待していきたい。

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