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強制連行の碑建立へ

2008年05月13日

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「神戸港 平和の碑」の完成イメージ図。左横は、「非核神戸方式」を顕彰する記念碑=神戸港における戦時下朝鮮人・中国人強制連行を調査する会提供

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神戸港での強制連行・労働の歴史について語る安井三吉代表=神戸市中央区のKCCビル

 太平洋戦争中に朝鮮半島や中国から強制連行され、神戸港で荷役作業などをさせられ、病気や事故で亡くなった中国人や朝鮮人らを悼む石碑が神戸市中央区に建立される。企画した市民団体は15日、神戸市内で「建立の集い」を開き、強制連行などの実態について報告するとともに、建立資金の募金活動を始める。(宋光祐)

 市民団体は「神戸港における戦時下朝鮮人・中国人強制連行を調査する会」(代表=安井三吉・神戸大名誉教授)。7月に、神戸港を望む神戸中華総商会(KCC)ビル=同市中央区海岸通3丁目=前に建立する。碑文には、太平洋戦争時に神戸港で労働力不足を補うため、中国人と朝鮮人、連合国軍捕虜が過酷な労働を強いられ、その多くが犠牲になったことを伝える内容の文言と、アジアの平和と共生への誓いが刻まれる。朝鮮語、中国語、英語でも記す。
 同会は99年に設立。研究者や在日韓国・朝鮮人、華僑らが神戸港での強制労働などの実態を調べてきた。石碑の建立は設立当初からの同会の悲願だった。市有地の貸与を求めて03年、神戸市と交渉を始めた。戦後60年となる05年の建立を目指したが、市側から協力が得られなかったという。当時、強制連行や従軍慰安婦を取り上げた歴史教科書について「自虐的」と批判する声が強まっていた。
 同会は民間の土地で石碑を設立できる場所を探した。今年1月、神戸華僑総会の林同春・名誉会長の協力を得て、KCCビル前の用地を借りられることになった。設置予定地の横には、神戸港に入港する外国の艦船に非核証明書の提出を求める「非核神戸方式」を顕彰する記念碑「平和のみみちゃん」が立っている。
 石碑の制作費や、7月21日に予定している除幕式に強制連行者らの遺族を招くためには、計約300万円が必要。同会は集会などを通じて寄付を呼びかける。
 「建立の集い」は今月15日午後6時半から、同市灘区山田町3丁目の神戸学生青年センターで。調査に携わってきた同会のメンバーが強制連行・労働の実態について報告する。安井代表は「石碑で60年以上前の出来事を未来に伝えたい。アジアの平和を願う思いが伝わって欲しい」と話している。問い合わせは同会(078・851・2760)へ。

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