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【人】浅草芸者 初の外国人女性 紗幸(さゆき)さん
東京・浅草で始まった浅草神社例大祭(三社祭)の名物の大行列に、青い目をした芸者さんが登場した。1時間にわたり街を練り歩く姿は、埋め尽くした観光客の目を引いた。200年以上の歴史がある浅草花柳界で、史上初の外国人芸者だ。
芸者を抱え、育てる置屋(おきや)の主人「お母さん」から、礼儀作法や着付けを徹底的にたたき込まれた。茶道に日舞、太鼓といった芸事をひと通り身に付け、昨年12月19日にお披露目を果たした。
15歳のとき、高校の交換留学生で初来日。「舞妓(まいこ)さんにも出会い、日本が気に入った」。慶応大に進み、さらに英国の名門、オックスフォード大では社会人類学を専攻。日本社会をテーマに研究の日々を過ごしたが、舞妓のあでやかな姿が脳裏に焼き付いていた。
「芸者は日本が誇る素晴らしい職業。お座敷では季節感を大事にした一流の料理に、音楽、踊りと、一度にいろんな日本文化を体験できる。着物もすごく好き。自分から花柳界に飛び込むことで、もっと日本社会を知ろうと思った」。熱意が通じ、大学OBらの力添えもあって、花柳界に入った。
もちろん、外国人だからと甘えは一切、許されない。「上下関係が厳しく、独特なしきたりもある。お客さまにどう接すればよいのか、細かな作法を覚えるのも難しい。最初は迷い、大変だった」と振り返る。
フルートが吹けることから「芸事では横笛が好き。頑張って自分の芸にしたい」と話す。将来は芸者文化の奥深さを伝えるドキュメンタリー番組の制作にも携わりたいという夢もある。「今は一人前の芸者になることが目標。一生、芸の修業です」と、凛とした表情を見せた。(村上智博)
豪州メルボルン市生まれ。本名、年齢などは非公表。紗幸の芸名は「透明感があり、幸せ」という意味からつけられた。英語と日本語で紹介したホームページ(http://www.sayuki.net/)を開設している。