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中国の「おから工事」 予算ピンはねで蔓延 (1/2ページ)
中国・四川大地震で多くの小中学校校舎などが倒壊したことに関し、同国最高位の「総工程師」資格を持つ建築士、夏一帆氏(51)が17日、都内で産経新聞と会見し、セメントや鋼材などの建築材料を少なくする「おから工事」と呼ばれるずさんな工事の蔓延(まんえん)が被害を大きくしたと指摘した。
「おから工事」はコンクリートなどの建築構造が豆の絞り粕のおからのようになり、強度がまったく足りないことを指す。今回の地震では、学校校舎やマンションなどで多くみられた。会見要旨は次の通り。
四川大地震で倒壊した建物などの多くは鉄筋コンクリート構造ではなくて、「おから工事」によるレンガ構造になっている。この原因として、(1)工事費が途中でピンはねされるなどの腐敗(2)建築関係の従業員の賃金が安く安全上の保証もないなどの貧弱な労働現場(3)毒入りギョーザ事件など不良品の横行にみられるような道徳観の欠如−の3点が挙げられる。
2006年、北京市で北京五輪のために建設された橋が完成後、荷重テストをした際に重さに耐え切れずに倒壊した例がある。これは、建築物を発注した各種の政府機関の担当者が工事代金をピンはねした結果、材料費を安く抑えるなど手抜き工事があったためだ。鉄鋼やセメントなどの建築材料を少なくしていた。
一方、政府機関の建物については絶対におから工事はしない。地方では学校などの建設予算を流用してでも、しっかりとした建設物を造る。予算を削られた校舎などは材料費を削られ、もろい構造になってしまう。これは四川省だけでなく、全国的な傾向だ。
一部の役人が甘いみつを吸う腐敗構造は、明らかに共産党の一党独裁の影響。汚職やわいろを監視して情報の公開を進め、ずさんな工事をなくすべきだ。(相馬勝)