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インフレを加速する中国・四川大地震 (2/2ページ)

2008.5.17 17:32
このニュースのトピックス中国

 養豚地域の被害は限定的とみられるが、豚肉の需給関係が極めて逼迫(ひつぱく)しているだけに、供給が若干減っただけでも価格への影響は大きい。

 消費者物価は昨年半ばから目立って上がり始め、2月(8・7%)から3カ月

連続で8%台の上昇率を記録している。これ以上のインフレは社会・政治不安を招く恐れがある。

 政府は昨年来、金融引き締め策(公定歩合の引き上げや銀行の預金準備率引き上げ)を強化して物価抑制に努めてきたが、いっこうに効果がない。そこでさらに引き締めようとしていた矢先に大地震が起きた。

 震災で企業や国民が苦しんでいる最中に利上げに踏み切れば、株や不動産相場の下落を加速して国民を敵に回しかねない。このため利上げ観測は消えた。

 しかし、世界的インフレ高進に震災による食料生産へのダメージや震災後の復興需要が重なれば、中国のインフレは止まらない。

 加えて年初来、人民元の切り上げ差益を狙った海外からのアングラマネーの流入が激増している。今年1ー3月だけで850億ドル以上の資金が非合法に流入し、累計で6500億ドルに達したとされる。

 米国が昨年から利下げを繰り返す一方、利上げを続ける中国との金利差は2%を超えた。中国の銀行に預けるだけで米国より2%高い利息が得られる。

 さらに人民元が切り上がれば差益も見込めるため、マネー流入に歯止めがかからない。こうして蓄積された過剰流動性がインフレに拍車をかけている。

 10年前の長江大洪水は、中国経済がアジア経済危機の影響も受けてデフレに苦しんでいる最中に起きた。この時は災害の復興需要が有効需要を喚起し、結果的にデフレ脱却に役立った。今回の四川大地震はインフレ高進中に起きた。政府はより難しい対応を迫られている。(編集委員 山本勲)                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              

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