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インフレを加速する中国・四川大地震 (1/2ページ)
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中国・四川大地震は「新中国建国以来最大の被害」(温家宝首相)を及ぼしたが、中国経済へのダメージは予想外に小さいとの見方が多い。被災地の多くが山間部の貧困農村のためだが、四川省は中国有数の食糧産地で最大の養豚基地でもある。食料品を中心に高進中のインフレに拍車をかける懸念はぬぐえない。
目を覆うばかりの大地震の惨状(推計死者5万人超)がマスメディアを通じて連日世界に流れている。しかし現在のところ、経済への悪影響は「年初に中国中・南部を襲った大雪の被害を超えない」(米モルガン・スタンレー社)との分析が多い。
中国のシンクタンク各社の予測では、大地震が国内総生産(GDP)成長率を引き下げる程度は1ポイント以下だ。大きく見積もるところで「0・4〜0・7ポイント」(中国銀行)、小さいところは「0・2ポイント」(中信証券)程度。
被災による損失は「1050億元〜1900億元(1元=約15円)」(西南証券)という。中国の昨年のGDP(24兆6600億元)に比べれば、ごくわずかだ。
壊滅的被害のわりに国家経済への影響が小さいのは、被災地が四川省北部の山間部でこれといった産業のない貧困地域のためだ。四川省全体のGDPでも中国の4%にとどまり、被災地はその一部でしかない。
しかしインフレへの影響は大いに注意を要する。四川省は穀物生産では全国3位の約7%を占め、豚肉生産量は11%と最大だ。
現在の中国経済の最大問題は食料品を中心とした物価上昇に歯止めがかからないことだ。4月の消費者物価(CPI)上昇率は前年同月比で8・5%だった。中でも食料品は22%、豚肉は68%も急騰している。
世界的な穀物価格上昇や、国内における家畜の疫病流行、さらに経済発展による国民の食肉量の増大などが重なったためだ。