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【法廷から】在日韓国人にとって母国とは? (1/2ページ)
このニュースのトピックス:法廷から
出入国管理法違反の罪に問われた韓国籍の男性被告(58)の初公判を16日、東京地裁で傍聴した。元在日韓国人の被告が日本に不法入国した背景には、生まれ育った日本への郷愁があったようだった。
起訴状や検察側の冒頭陳述によると、被告は在日韓国人として日本で生まれ育ったが、他人名義のパスポートを不正使用したことから、在留資格を剥奪(はくだつ)され、韓国に渡った。だが、平成16年7月、船で不法に北海道に上陸し、20年3月9日まで都内などで生活していた。罪状認否で被告は起訴事実を認めた。
情状証人として被告の妹が証言台に立った。
検察官「被告が日本にいるのを知ったのはいつ?」
妹「3年くらい前です」
検察官「日本にいたらダメだと言った?」
妹「言いました」
検察官「被告は何と言った?」
妹「『やり残した仕事がある』と言っていた」
黒っぽいスーツ姿の被告は、証言台の前に立ち、かすれた声で証言した。
弁護人「日本に来た動機は?」
被告「ビジネスが好きで来た。韓国では生活できない。日本でしか生活できない気持ちがある。でも、今回捕まって韓国に住まないと仕方ないと思っている」
弁護人「本来、日本で生活するしかない?」
被告「今でも日本人という意識しかない。韓国へ行っても韓国語ができない。韓国人なのに韓国語ができないとバカにされる」
裁判官が被告の再犯のおそれについて質問した。
裁判官「また韓国に戻っても日本に戻らないかが誰しも心配していることだが?」
被告「ビジネスという考え方でなく、社会貢献という考え方で何かやっていこうと思う。ビジネスでなければ韓国でも食べていける」