隠岐広域連合が計画している隠岐病院(隠岐の島町)の建て替え事業で、事業費の財源の一部に過疎債の起債を検討していることが、分かった。過疎債はこれまで「不採算地区病院」と規定された過疎地の小規模病院にしか起債できなかったが、このほど総務省が条件を緩和したため、隠岐病院も対象となった。来年度末に期限切れを迎える過疎法を巡っては、県などで「ポスト過疎法」を要望する動きが積極化しているが、期限切れを前にその対象範囲を拡大するかたちとなった。【小坂剛志】
隠岐病院の現建物は築約30年で、老朽化が深刻になっている。同病院を運営する隠岐広域連合によると、今年度中にも新病院の基本設計に着手。10年度の着工、12年度の現病院からの移転を目指している。新病院の建設地は現病院の隣接地が考えられており、事業費は約50億円が見込まれている。
同病院建て替え事業の財源の一部として検討されているのが、「過疎地域自立促進特別措置法(過疎法)」に基づく過疎債の起債だ。過疎地の対象となる自治体は過疎債の起債で、過疎対策の社会資本整備事業を借金でまかなえる上、7割が地方交付税で補てんされる。これまで公立病院の整備に過疎債を起債するには、病床が100床未満、1日平均外来患者数が200人未満などの小規模病院が該当する「不採算地区病院」としての要件を満たす必要があった。
しかし今年に入って、総務省は「過疎地の公立病院は大きな役割を担っており、現実には不採算地区でないとされる病院の方が経営は厳しい」などとして要件を緩和する方針を打ち出し、隠岐病院の建て替えにも過疎債を起債できるようになった。
隠岐広域連合は「隠岐広域連合を構成する自治体も財政難を抱えており、病院の建て替えに過疎債が起債できるようになることは大きく、これから検討したい」としている。
毎日新聞 2008年5月17日 地方版