16日、長崎県・対馬西の対馬海峡で、日本側EEZ(排他的経済水域)内での違法操業を疑って、第7管区海上保安本部(北九州市)が逃走した韓国漁船2隻を拿捕(だほ)したが、その後の調べで、韓国側EEZ内での操業と判明した。
レーダーの船影を見誤ったとみられ、7管は「あってはならないこと。誤認となって反省している」と述べている。
7管によると、16日午前10時半ごろ、対馬西約30キロ沖で、対馬海保の巡視艇「なつぐも」のレーダーが、日本側EEZ内で不審な船影を発見。現場に急行し、底引き網操業中の「第97セジン」など2隻(乗組員各約10人)から事情聴取しようと接近すると、網を揚げてともに逃走した。
2隻は午前11時20分ごろ、韓国側EEZ内で停船。7管側は、なつぐもなど巡視艇計3隻を横付けにして海上保安官計19人が乗り込んだ。
ところが、午後1時ごろ、第97セジンの乗組員が巡視艇とを結んでいたロープ4本を切り、海上保安官を乗せたまま約35分逃走。約7キロ北の韓国側EEZ内で警備艦に横付けし、船長が乗り移った。その後、巡視艇3隻も第97セジンに横付けした。漁船発見現場は、日韓EEZの境界付近だが、7管側が漁船のGPS(全地球測位システム)を調べると、日本側EEZに入った記録はなく、午後8時ごろ聴取を打ち切った。
レーダーに映っていた船は、この2隻以外の船とみられる。7管は「しっかりと確認してから停船命令を出すべきだった」と話している。
また7管は、韓国側EEZ内にもかかわらず2隻が逃走したことについて、現場が韓国側の底引き網操業禁止区域に当たるため逃げた可能性もあるという。【佐藤敬一、佐野優】
毎日新聞 2008年5月17日 東京朝刊