 グライシンガー(左)の二の舞いは御免。広島はルイス流出阻止に手を打っていた |
広島の新外国人コルビー・ルイス投手(28)が開幕早々、セ・リーグ最多勝争いトップタイの3勝を挙げ、リーグ断トツの41奪三振をマークしている。こうなると、他球団で活躍した外国人選手を飽きずにコレクションし続けている“あの球団”の動向が気になるところ。そうでなくとも、エースの黒田がドジャース、4番の新井が阪神へ流出し、広島は“獲られ放題”。しかし、仁義なき強奪球団に対抗すべく、しっかり手を打っていた。
リーグトップの3勝、41奪三振もさることながら、ルイスは中4日が2度、中5日が2度の剛腕ぶり。投球回数はリーグトップの33回1/3に達している。登板数が多くなりそうなだけに、「広島打線の援護次第では20勝するかも」との声も。ネット裏の他球団スコアラー陣の間では早くも「来年は巨人のユニホームを着ているんじゃないの?」などというジョークもささやかれるほどだ。
巨人は横浜から守護神クルーン、ヤクルトから主砲ラミレス、エースのグライシンガーを獲得。他球団からは批判的な声もあったが、ルールにのっとって獲得しているのだから、巨人の経営努力といえばそれまでだ。
しかし、資金力に劣る広島も、「ノーモア・グライシンガーの悲劇」とばかりに、選手流出を抑えるため知恵を絞っていた。
広島は今季、ルイスの他にも、左腕投手のコズロースキー、右腕シュルツ、内野手のシーボル。計4人の新外国人を1年契約で獲得しているが、いずれも「2年目の国内移籍禁止」の条項を設けてある。
広島・松田オーナーは、「今季に限らず、ウチは過去にも、1年で他球団へ移籍したことはないでしょう。2、3年で出ていったケースは多いけどね」。メジャー復帰なら、1年限りの退団も可能だが、それ以外は最低2年、広島で働いてもらうというワケだ。
確かに、かつて1998年から3年間エース級の働きをしたミンチーは、2001年からロッテへ移籍し4年間活躍した。広島で96、97年に連続打点王に輝いたロペスも98年にダイエーへ移籍。00から広島へ復帰し3年間プレーしたのは異色だった。シーツ(広島→阪神)、ラロッカ(広島→ヤクルト→オリックス)、デイビー(広島→オリックス)のそうそうたる顔ぶれも、広島で2年以上プレーした上で他球団に引き抜かれている。
裏を返せば、ルイスが2年連続で活躍した場合、3年目の10年に他球団のユニホームに袖を通す可能性が高いことにもなる。
「その辺はもう腹をくくっとる。もし獲られたら、また新しい選手を獲ってくればいい」と松田オーナー。広島の外国人選手がこれほど他球団から引っ張りダコになるのは、獲得段階での見る目、育成能力が高い証拠だ。
今季の選手年俸総額では、12球団トップの巨人が五十数億円と推定されるのに対し、最下位の広島は約15億円。メジャーで過去通算12勝の実績を持つルイスに支払う今季年俸9500万円は、広島にとっては精いっぱいの額だろう。
海のものとも山のものとも知れない来日1年目の外国人選手に対し、複数年契約のバクチは打てない。とすれば、「2年目移籍禁止」条項はせめてもの対抗策だ。とはいえ、広島は外国人のみならず、金本、新井(ともに阪神)ら国内FA選手も流出し続けている。91年のリーグ優勝を最後にもう16年間も待ち続けている広島ファンが報われるのはいつの日か…。
ZAKZAK 2008/04/22