【オーストラリア】カンタス日本便、格安サービスに変更も
5月14日8時0分配信 NNA
カンタス航空はこのほど、現行の日本路線を格安航空子会社ジェットスターのサービスに差し替える可能性を示唆した。日本航空(JAL)との共同運航便について、国際航空サービス委員会(IACS)に対する延長申請を行った際に明かしたもの。アジア全域での格安航空人気の高まりにより、中長期的には日本路線の採算性へのプレッシャーが強まっているとの見方を示している。13日付シドニー・モーニング・ヘラルド紙が報じた。
カンタスはJALとの共同運航便に関し、2年間の延長申請が認められなかった場合、日本便の本数を削らざるを得ないと主張。また承認された場合でも、ニュージーランドと英国に続く第3位の観光客数を送り込んでいる日本便の本数維持を保証できないとの姿勢を明確にした。
同航空は申請書の中で、マレーシアのエアアジアXやシンガポールのタイガー・エアウェイズ、日本のスカイマークなど格安航空が「日本人観光客の豪州向けシェア率に対する圧力を増しそうだ」と警告。共同運航便では直接の競合相手とシェア率を分かち合うだけとの見方もあるが、それでも燃料価格の高騰と豪ドル高による「大幅な損失を支えることができる」と説明した。
観光関連の政府外郭団体TTFオーストラリアによると、日本からの訪問客は今年3月までの1年間で前年同期比17.6%減に落ち込んでいるという。
カンタスとJALの共同運航プログラムは、JALが2006年に成田〜メルボルン路線で自社機体の便を運休した際に拡大している。なおカンタスの方も、昨年3月に関西空港〜ブリスベーン/シドニー便をジェットスターに切り替えていた。
一方、ジェットスターは大阪/名古屋と豪各都市を結ぶ日本路線を、ハブ空港とする予定の北部準州ダーウィン空港経由でエアバスA320型機やA321型機といった狭胴型機体によって運航する可能性を否定していない。
同航空は既に週2便のダーウィン〜シンガポール便を運行中。ウエスタウエー広報担当は、「5〜6時間で行ける目的地と考えれば、A320型機やA321型機は非常に多くのすばらしい市場をカバーすることができる」と語った。
さらに自社との戦略提携により、今月23日に格安航空「ジェットスター・パシフィック」に生まれ変わるベトナム2位パシフィック・エアウェイズについて、ホーチミン空港をハブ空港にしつつ日豪間の観光客に利用する可能性にも言及したという。
TTFのブラウン代表はNNAの取材に答え、ジェットスターの日本便拡大について、カンタスの同便共同運航申請の結果によると説明。その上で、「観光業界はジェットスターを格安航空としても、フルサービスとしても高く評価している」とコメントした。
ただし、仮にカンタスの日本便が格安サービスに差し替えられたとしても、日本からの観光客数の増減に対する影響は大きくないと指摘。「豪ドル高や日本自体の高齢化、(日本から)短距離で行けるアジアとの競争が減少の原因。日本は重要な市場で今後も需要を掘り起すべきとはいえ、現実も直視しなければならない」と語っている。
IACSはカンタスによるJALの共同運航便の延長申請を受け、一般からも意見書を募っている。この募集は今月27日に締め切られる予定。
■JALは静観の構え
JALは昨年3月に関西空港〜ブリスベーン/シドニー便を停止し、昨年5月からはジェットスターの機体で関空〜ブリスベーン/シドニー路線の共同運航便を開始していた。このほか、成田〜ケアンズ/ブリスベーン/シドニー路線でカンタスと一部自社機体を用いて共同運航を行っている。
JAL広報部はNNAの取材に対し、「現時点で豪州路線に関する方針は、何も変わっていない」と説明。今回の報道については「先方から正式な連絡が来た際には対応を検討するが、今のところ特にコメントすることはない」と述べている。
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