レジ袋はエコの“入り口”だ。エネルギーを使う割には使い捨て、燃やせば温室効果ガスも出る。マイバッグ持参で、すぐ止められる。削減の仕組みから、今私たちにできることが見えてくる。
東京都の食品スーパー「三和」は三月半ば、町田市郊外の小山田店で、約半年間のレジ袋全廃実験を始めた。全国初の試みだ。店内にレジ袋を置かず、マイバッグを忘れた買い物客には、市民団体が集めた再使用の紙袋か、段ボールを使ってもらう。
店内をのぞいてみると、買い物客のほとんどがマイバッグを持参し、淡々と食材を選んでいた。
富山県では四月から、主なスーパーなどが県内一斉にレジ袋の有料化に乗り出した。富山県の調べでは、開始後一週間で平均持参率は92%に上った。
東海三県では約四十の自治体が本年度中に有料化を検討している。レジ袋はもはや有料化が当たり前、そうしないと「乗り遅れ」というムードになってきた。
きっかけは、小売業者に削減努力を義務付けた、昨年四月の容器包装リサイクル法改正だ。それを見越して大手スーパーの「イオン」が京都市内で試みた「京都方式」の成功で、燎原(りょうげん)の火のように広がった。
イオンと京都市、市内の市民団体の三者が協定を結び、行政と市民が環境に配慮したスーパーの取り組みを、広報面などで積極的に支援するという方式だ。
一律の「規制」から、地域ぐるみの「支援」への転換が、有料化による客離れを心配する小売業者の背中を押した。町田も富山も三者の協定を基盤に置いている。
「私たちにできることから始めよう」。環境活動を進める上でよく耳にするスローガンだ。
しかし、なかなかそれが見つからない。見つかっても、社会システムとして定着しない。そんないら立ちを抱える市民や事業者は少なくない。
そのような人々に「京都方式」は、レジ袋削減以外にも応用可能な地域の成功モデルを示している。
地球温暖化など環境問題を克服するには、地域の視点が欠かせない。市民、企業、行政の三者が、地域の課題をまず共有し、それぞれに「私たちにできること」を持ち寄って、解決に向けた独自の仕組みをデザインし、その仕組みを地域に定着させるべきなのだ。
国や世界が抱える課題との接点も念頭に置いて取り組みたい。
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