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【主張】救援隊受け入れ 中国の「変化」歓迎したい

2008.5.17 02:17
このニュースのトピックス四川大地震

 巨大地震に見舞われた中国が、生存率が著しく低下するといわれる「被災後72時間」(日本時間15日午後3時28分)の直前になって、日本の国際緊急援助隊の受け入れを表明、日本隊(第1、2陣合わせて60人)は直ちに被災地に向かった。中国が外国の救援隊を受け入れるのは、日本隊が最初だという。

 当初、外国からの人的援助を断ってきた中国政府だが、一転して受け入れを決めた。経緯は明らかではない。被災地へのルート確保など受け入れ準備が進み、胡錦濤国家主席の国際協調路線が具体化した。最初は「自力更生」の自負やメンツが先行し、情報隠蔽(いんぺい)体質も露呈した。こうしたさまざまな見方がなされている。

 しかし、国際社会からの強い働きかけがその背景にあったことは疑い得ない。福田康夫首相は、中国政府が当初、人的支援を断ってきたとき、中国側の事情に理解を示す発言をしたが、一刻一秒を争うとき、適切ではなかった。強く受け入れを迫るべきだった。

 中国は、外国からの救援隊を拒み続ければミャンマー軍政の二の舞いになるところだった。今回の決定は遅きに失したが、ともあれ受け入れに転じたことは評価したい。日本隊に続いて、韓国、シンガポール、ロシア隊なども現地に向かいつつある。

 被災地では四川省だけで1万2000人以上がなお生き埋めになっているという。「72時間」は過ぎたが、まだ救える命はあるはずだ。過去にも例は多い。緊急援助隊の活動を心から応援したい。

 ただ、現地は水、食料、宿泊施設はおろか、気候や衛生状態を含め想像を絶する困難な状況にある。援助隊が十分な活動ができるよう、政府は移動・運搬手段、食料、宿舎、通訳の確保に至るまで後方支援に努めてほしい。

 中国当局は人民解放軍13万人を投入したという。人数では太刀打ちできない。日本の援助隊ならではの生存者探索、人命救助などの技術が発揮できるよう願う。

 今回の四川大地震では、中国政府は当初から外国メディアの被災地入りを許した。24万人以上の死者を出した1976年の唐山大地震のときの情報隠しとは大違いだった。外国援助隊の受け入れも含め、中国が「国際社会の基本的かつ普遍的価値」(さきの日中共同声明)の尊重に動き出したのだとすれば歓迎したい。

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