建設現場のアスベスト被害、集団提訴
肺がんや中皮種など、重い病気を引き起こすアスベスト。発症までの期間が長く、「静かな時限爆弾」とも呼ばれています。建設現場でのアスベスト被害を訴える全国で初めての集団提訴が行われました。 「一番厳しいです。坂が」(小俣喜昭さん) 一歩一歩、ゆっくりと歩く小俣喜昭さん(77)。手で引いているのは、酸素ボンベです。小俣さんは肺に重い病気を患い、ボンベを手放すことができません。原因はアスベストだということです。 16日、アスベストなどを建設作業で使用して肺ガンなどを患った建設作業員ら178人が国と建材メーカー46社を相手取り提訴しました。建設現場での被害をめぐる初めての集団提訴です。 小俣さんも50年にわたり、住宅の内装工事など建築現場で働いてきました。 「もっと早くに教えてくれたらな、こんな病気になる前に教えてくれたらなと」(小俣喜昭さん) かつて多くの建築現場で使われていたアスベスト。小俣さんら原告は国がその危険性を把握していながら、現場の労働者には十分に知らせていなかったと主張しています。 もっと速やかな規制が行われていれば、このような苦しみはなかったかもしれません。 「そういう運命だと諦められないところもあります」(小俣喜昭さん) 原告側は今回の訴訟で、国などに総額66億あまりの賠償を求めています。しかし、小俣さんが本当にほしいのはお金ではありません。 「我々みたいな被害者が出ないような行政をしてもらうことが一番の願い。私もだしみんなもそうだと思います」(小俣喜昭さん) アスベストの被害を根絶する。それが小俣さんたちの願いです。(16日16:07)
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