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ページ更新時間:2008年05月16日(金) 19時24分

手話使った詐欺、主犯の女に懲役10年

社会3854081
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 聴覚障害者をねらった詐欺事件で、主犯の女に懲役10年の判決が言い渡されました。手話のうまい女を信用してしまったと話す被害者たち。事件の背景には何があったのでしょうか。
 「早くお金を返してほしい。お金は返ってきていません。20年、30年くらいの判決が良かった」(500万円の被害にあった男性)

 東京の福祉関連会社社長・小林洋子被告(56)は、手話を使い「銀行よりも利子が高い」などとウソを言い、13人の聴覚障害者から1億1000万円あまりをだまし取った詐欺の罪に問われています。

 東京地裁は16日、「障害に付け込んだ卑劣な犯行だ」として、求刑通り懲役10年の実刑判決を言い渡しました。

 「手話がとても滑らかで、すごいと思いました。(聴覚障害者と)同じような手話を使っていました」(被害者の男性)

 被害総額は27億円。自らも聴覚障害があり、被害者の支援をしてきた弁護士は、事件が広がった背景をこう指摘します。

 「学校で教育を受ける時に、健常者が受ける知識・情報を習得することができない」(被害者を支援してきた山田裕明弁護士)

 手を大きく上げて質問する子どもたち。明晴学園は先月、東京に生まれたばかりの新しい「ろう学校」です。この学校の「全国初」の試み。それは、すべての授業を手話で行うこと。なぜ、全国初なのか?

 それは、ろう学校では手話は日本語を学ぶ障害になるとして、禁じられてきた歴史があるからです。

 ろう学校では今も「口話」、すなわち、発声や口の動きを読み取る練習を中心に教育が行われているといいます。弁護士は、習得が難しい口話の練習に時間や労力などを費やし、本来の授業の内容についていけない多くの子どもたちを生み出してきたと訴えます。

 「口語教育は失敗だと思う。文章を読む力は育たない。手話を覚える機会もない。1人が成功しても、99人が切り捨てられている」(被害者を支援してきた山田裕明弁護士)

 被害者の中には日本語も手話も十分に学ぶことができず、複雑な事柄を説明するのが難しい人もいます。それが、被害が広がった重要な背景だというのです。

 障害に付け込んだ卑劣な事件。被害を少しでも防ぐための手がかりは、子どもたちの学びの場にあります。(16日15:51)

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