揮発油税などの道路特定財源を十年間維持する関連法が国会で成立したのを受け、国土交通省は「待ってました」とばかり地方の道路整備を支援する交付金の配分額を公表した。全国で影を潜めていた道路工事が活発化しそうだ。
与党が関連法案を衆院で再可決した際、自民党の伊吹文明幹事長の感想が印象深かった。「知事や市町村長が『再可決を』と言っていたのに応えられた」と述べたのだ。
確かにそういう経緯はあった。全国知事会など地方六団体は揮発油税の暫定税率復活を政府・与党に要請するなど、ひたすら現状維持を求めてきた感がある。
本年度予算の歳入に穴が開くという不安は理解できないでもないが、思考停止状態のような対応に違和感を覚えざるを得なかった。地方のふがいなささえ痛感した。
自ら地方分権の必要性を訴えながら、国からの交付金などを前提にした今の仕組みに正面から異議を唱える声はほとんど聞かれなかった。まして、ありがたがって交付金をもらうようなら地方分権の前途は極めて多難である。
道路特定財源を一般財源化する政府の閣議決定を踏まえ、中央では各省庁の予算争奪戦が始まっている。そうした動きに待ったをかけ、一般財源化論議で地方の裁量拡大につながるような堂々たる主張を期待したい。