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省エネに新たな国際枠組み 温室効果ガス主要排出11国

2008年05月17日03時02分

 主要8カ国(G8)に中国、インド、韓国を加えた温室効果ガスの主要排出11カ国は、省エネルギーの取り組みを進めるため、民間協力も視野に入れた国際的な枠組みをつくる方向で最終調整に入った。6月のG8エネルギー相会合(青森市)で採択する共同声明「青森宣言」に盛り、7月の北海道洞爺湖サミットでの成果として打ち出す。(村山祐介)

 創設を目指す国際枠組みは、「国際省エネルギー協力パートナーシップ」(IPEEC)。昨年の独サミットで欧州連合(EU)が提案し、日本が各国間の調整を進めていた。米国や欧州諸国の賛同は得られており、中印の参加へ向け、詰めの作業を急ぐ。

 政府筋によると、IPEECでは、各国がそれぞれ自国の省エネ目標や行動計画を策定する。計画の進み具合は、毎年開催するエネルギー担当の高級事務レベル会合に報告し、省エネ政策の成功事例などについて情報を共有する。国際エネルギー機関(IEA)とも連携する方針だ。

 IPEECの創設には、ポスト京都議定書へ向けて日本が主張する産業別の温室効果ガス削減手法「セクター別アプローチ」に対し、国際的な理解を進める狙いがある。産業別の国境を超えた協力によって省エネ技術を普及させ、ガスを削減することは、この手法の大きな柱だからだ。

 セクター別の手法でガス削減に取り組む国際枠組みには、日米中印など7カ国が参加する「クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ」(APP)がある。IPEECはAPPの「拡大版」ともいえ、将来的にはインドネシアやメキシコなどにも参加を呼びかける。民間を入れて鉄鋼やセメントなど産業・分野別の作業部会を設け、省エネ技術の普及に取り組むことも検討する。

 G8と中印韓は、世界のエネルギー消費量の65%を占める。一致して省エネに取り組む姿勢を示すことで、価格高騰が続く原油市場を沈静化させる期待もある。

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