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AV専業3社、09年3月期見通し−再編後も見えぬ成長戦略

2008年05月14日

 音響・映像(AV)専業メーカーの09年3月期連結業績見通しが出そろった。パイオニアは赤字だったプラズマパネル生産からの撤退で収益回復を目指す。日本ビクターとケンウッドは10月に経営統合し、カーエレクトロニクス事業(車載機器)を事業の柱にする。3社とも事業再編で収益悪化に歯止めをかけようとしている。だが、その後の成長への道筋は明確ではない。(川口哲郎)

 「家電事業を2010年3月期に黒字化する」。13日会見したパイオニアの須藤民彦社長は厳しい表情で語った。プラズマ生産拠点の鹿児島県出水市と山梨県中央市の工場を09年3月期中に閉鎖、人員はカーエレ部門などに再配置し、一部早期退職を実施する。ディスプレイ事業の経費を08年3月期より150億円削減し黒字転換させる。

 プラズマテレビの開発、生産では松下電器産業と包括提携した。シャープから供給を受ける液晶テレビは8月に欧州市場へ投入する。「シャープの液晶工場に出向してテレビを共同開発することも検討している」(須藤社長)と協業に活路を見いだす。

 全社の業績を支えるのは家電部門と対照的に好調なカーエレ。全社の中期目標は09年度に売り上げ9000億円(07年度7745億円)、営業利益370億円(同109億円)を掲げた。売り上げの半分、利益の7割以上をカーエレ事業で稼ぎ出す計画だ。

 12日に経営統合合意を発表したビクターとケンウッド。2011年3月期に「カーオーディオで1000万台、カーナビで100万台を目指す」(河原春郎ケンウッド会長)。ビデオカメラなど主力4事業の中で、具体的な目標値を掲げたのはカーエレだけだ。「カーエレ頼み」の構図はパイオニアと同じ。中南米やアジアでの拡販で成長を目指す戦略も似ている。ケンウッドはそのカーエレ事業が赤字から脱却できていない。「簡易型ナビを成長の柱にし黒字化したい」(塩畑一男ケンウッド社長)ともくろむ。

 パイオニアは市販カーナビのトップメーカー。だが、カーメーカーがナビの生産ラインでの装着率を高める傾向にあり、市販品は頭打ちになる。次世代品はソフト開発費が膨大になり利益を圧迫する。安価な簡易型ナビが普及し、パイオニアが得意とする高機能ナビの市場を侵食する可能性もある。現在6―7%のカーエレ事業の営業利益率は小さくなりそうだ。

 ケンウッドは業務用無線の利益で他部門の赤字を補っている。無線機は米モトローラなど競合相手が限られる。今後も「業務用無線分野に投資を集中する」(塩畑社長)方針だ。AV専業メーカーはニッチでも収益性の高い分野へかじを切る時期を迎えた。

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