あなたの本当の所得はいくら?
市民の誰が正直者で誰がフルボ(各種恩赦法を待つ人々をイタリアでは FURBI フルボ=ずる賢い人)か所得の申告から見て見よう。
下の表はイタリア財務省・歳入庁が発表した2004年の職種別所得申告金額ユーロ(1ユーロ=約148円)である。
右の+ - の%は2002年に対するの増減を示している。
n01からn.10までは被雇用者, 給料所得で税金は天引きされているのでほぼ所得総額が表に出ていると見て良い。
n.11からn.20までは職業専門職・自営業である。
申告は本当の収入なのか、と問われ中流階層社会の中核を占めている。
01.司法官 105.190 +9%
02.外交官・官選の県知事 70.747 +22.4%
03.大学教員 38.581 +5.9%
04.病院の医師 38.396 +6.1%
05.将校軍人 33.113 +6.7%
06.警察官 31.102 +7.7%
07.中学校教員 26.035 +3.8%
08.市町村職員 24.950 +6.8%
09.機械金属産業事務員 21.308 +5.7%
10.同上 現業労働者 20.345 +11.1%
11.公証人 428.497 +45.3%
12.薬剤師 103.830 +4.9%
13.公認会計士 63,861 +7.3%
14.開業医師 53.662 +3.9%
15.弁護士 49.450 +4,9%
16.歯科医 42.825 +8.5%
17.レストラン経営者 20.101 +6.0%
18.海の家経営者 15.852 +11.8%
19.バール・喫茶経営者 15.091 +11.0%
20.個人タクシー 11.482 -11.5%
この表を見てこれがイタリア人の本当の所得だと信じる人は誰も居ない。
プローデイ政権の経済・財務省の大臣はユーロ貨幣を創ったUE中央銀行の父の一人と言われるパドアー・スキオッパーである。
経済企画省の大臣はDS党の経済責任者だったベルサーニである。
彼は7月の初め公証人、薬剤師、公認会計士、弁護士、タクシー業について規制緩和特別政令を発した。
これらの規制緩和によって経済効果は06年は43億、07年は71億ユーロが増収になり、市民はより快適なサーヴィスが受けられる。
特に、ローマ・テルミに駅についてタクシーを乗ろうと思ったら40-60分待たないと乗れないのでタクシーを増やす。
処方せんを必要としない薬はスーパーマーケットで売って良い。
中古自動車の譲渡は公証人の証明は要らない。
弁護士、会計士の最低料金表の撤廃。
いずれも規制緩和によって市民生活をより円滑にし無駄な社会費用の節減を謳ったものだ。
この7月は上記の業界は規制緩和に反対して既得権を守るために全国でストライキを展開、弁護士は12日間裁判をストップさせた。
一方、消費者側は政府を支持、この市民財政法とも言うべき特別政令を審議するために政府は議会で信任投票を余儀なくされた。
<中流層を守るために熱い秋の戦い>と、野党中道右派は宣言!!
中道左派政権にとって次の関門は金融・財政政策である。
イタリアの会計年度は1月から12月まで、財政法によって9月30日までに政府は来年度の予算を議会に提出しなければならない。
経済問題UEやOECDから金融政策の手直しを強く要求されている。
欠損はEU のマーストリック協定基準の3% を越え4.1%に達している。
* 企業の税金負担軽減: 5%は年内に、5%は任期内実現して企業の競争力を高める。
* 企業減税による雇用促進
* 企業の研究開発費奨励
労働組合側は早くも「今回は金持ちと脱税者が払え!」と身銭を切る相談は乗れない、と政府を牽制。
プロデイ首相はUILの第14回全国大会に出席して脱税との戦いを宣言した。
首相によれば毎年1000億ユーロの脱税が有り、国民総生産の7%に達している。
8月9日付けレプッブリカ紙によれば主な脱税者は建設業、製造業、商業、企業向けサーヴィス業、家庭向けサーヴィス業(お手伝い、老人や病人への介護者等)
地域的には脱税の順番は南部、中部、北東部、北西部となっている。
先日CGIL イタリア労働総同盟の発表によればラヴォーロ・ネーロと呼ばれる闇労働者が何と400万人超も居る。
この数字は失業者の倍以上存在する異常さである。
内訳は外国人と広い意味で公務員に多い。
すべてのイタリア人はフルボか?
(フルボ= 上手に立ち回るずるい人)
エコノミア・ソンメルサと呼ばれる裏経済・地下経済の総体(マフィアや麻薬等の経済犯罪は含)は2002-2003年は国民総生産に対して26%に達したと推計されている。
イタリア国家・社会の清潔度は先進国中42番目(2004年・日本は24番目)と最悪である。
このランキングは国の政治のクリーン度(経済犯罪汚職・贈收賄割合を除いた)を計る各国の政界を監視する国際組織NPO組織トランスペアレンシー・インターナショナルが発表している。発表のデターは世界銀行が調査した資料に基付いて学者、アナリスト、ビジネスマンが合議して決める。
この国には「Condono=コンドーノ」と呼ばれる麻薬みたいな悪質な免除制度が暫定法としてしばしば登場した。
私の在住30年間の間、数年おきに実施された。
一種の徳政令で脱税者に対する恩赦法である。
主に、違反建築と脱税に適用されるのだ。
政府が決めた罰金を払えば過去の脱税は免罪にする、と言うものだ。
税法によれば申告者は5年、無申告者は10年まで遡って税務調査が出来るが日本みたいに国の強権発動は出来ないから実質的に税務調査は限定される。
これではまともに税金を払う人は正直者はバカを見るだけである。
正にフルボのために制定する悪法である。
イタリア人にとって正義を守るためには電話盗聴もやもえない!!
ところイタリアの凶悪犯罪摘発率はかなり優秀で日本国より逮捕率は高い。
しかし、大掛かりな不正や凶悪犯罪のほとんどの重要捜査は電話盗聴による。
* 007秘密警察によるテロ活動、クーデター陰謀と違法な諜報活動
* 汚職 贈収賄 (政党団体、政治家、企業家、役人)
* マーフィア等の組織犯罪(犯罪の中心は公共事業費のピンハネ。逃亡中のすべての大親分を捕まえた)
* 密輸・武器、麻薬、人身売買、売春組織等
* 大掛かりな株のインサイダー取引・不正金融による企業合併
* 粉飾決算などの企業犯罪
* 今回大問題になったカルチョトポリ(八百長サッカー)
* 大掛かりな脱税者 等、等
以上の凶悪犯罪は100%電話盗聴によって発覚し、捜査され、犯人が逮捕されている。
法務省が発表した2005年の電話盗聴内容は以下の通り。
* 年間常時33000人が監視下に置かれ
* 毎年10万件が盗聴され(順番にローマ、ミラノ、ボローニャ、ナポリ、パレルモ)
* 盗聴された市民は年間150万人
* 盗聴費用は2004年が2億6300万ユーロ、一回の盗聴費は23ユーロ、
盗聴が問題になる時は一般市民が巻き沿いになり、報道機関に流れる事だ。
一方、盗聴制度を容認しないと国家・国民の治安維持が保たれない。
そこで、盗聴を規制しようと左派政権は考えている。
電話盗聴の規則の内容は
1,最高90日、例外としてマフィア
2. 延長する場合は検事長の裁決を要する。
3. 秘密の秘守義務と広報・公開の禁止
4. 盗聴センターを現在の116から26個所に減らし、高等裁判所に移す
5. オペレターが違反した場合は3000から18000ユーロの罰金の制裁がある。
6. ジャーナリストの違反は60-1000ユーロの罰金
もう一度、私は問いたい: イタリア人にとって正直・正義・人権とは何に !?
完。
石田泰