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佐藤優さん、早大でインテリジェンスを講義へ

2008年01月30日

 起訴休職中の外務省事務官、佐藤優さんが今春、大学、大学院でジャーナリズム教育に踏み出す。国家情報や機密情報を扱う「インテリジェンス」の分野での旺盛な著作活動にくわえ、アカデミズムや教育の世界でも存在感が増しそうだ。(アサヒ・コム編集部)

写真早大で教える佐藤優さん
写真裁判はまだ終わっていない
写真早大大学院にはジャーナリズム教育のJスクールが設けられる

 早稲田大学が今年4月からスタートさせる大学院政治学研究科ジャーナリズムコース(Jスクール、定員40人)で、インテリジェンスを踏まえたメディア論などをオムニバス形式の授業として7回講義するほか、大学生の課外のサブゼミも1年間指導する。

 佐藤さんは1960年生まれ。85年に外務省入省。英国やロシアの日本大使館勤務を経て、95年から本省国際情報局に勤務。02年、ロシア情勢に詳しい学者への不正な資金援助(背任)と、北方領土を舞台とするディーゼル発電施設工事の落札で予定価格を漏洩(ろうえい)した(偽計業務妨害)疑いで逮捕、起訴された。1、2審は有罪判決が出ている。

 今も裁判は続いているため、大学で正式な講師などには就任できない。このため、08年度はゲストのスピーカーといった位置づけで、学生らに教える。判決が確定し無罪になるか、有罪の場合には刑や執行猶予期間を終えるなど、身分が確定した後に正式な教員に就任する予定だ。

 早大(東京都新宿区)で26日にあったJスクール開設に向けた研究会で、佐藤さんは新年度の講義を念頭に、インテリジェンス原論の構想、その方法論、公共圏と国家の関係などについて語った。

 また、先頃明らかになった内閣情報調査室の職員がロシア関係者に情報を渡していた問題では、「日本がなめられている」と話し、「インテリジェンスは国家の生き残りのための実践知、総合知だ」と力説した。

 Jスクールのまとめ役である早大政治経済学術院の佐藤正志教授は、「佐藤優さんは今、ジャーナリズムの世界で刺激的に活躍している。インテリジェンスを語ってもらう最適任者」と、起用の狙いを話す。

 佐藤優さんは起訴後、「国家の罠(わな) 外務省のラスプーチンと呼ばれて」などを出版。「自壊する帝国」では、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。そのほかにも、「獄中記」「私のマルクス」「インテリジェンス人間論」などを次々に発表している。

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