福島放送局

2008年5月16日 20時37分更新

大野病院事件 判決は8月

県立大野病院の産婦人科の医師が、帝王切開の手術で女性を死亡させたとされる事件の裁判で弁護側は15日、最終弁論をおこない、「被告の医師はわが国の医療水準に即して可能な限りの医療を尽くした」と述べてあらためて無罪を主張しました。裁判はすべての審理が終わり判決はことし8月20日に言い渡されます。

大熊町にある県立大野病院の産婦人科の医師、加藤克彦被告(40歳)は、4年前、帝王切開の手術の際に女性の胎盤を無理にはがし、大量出血を引き起こして死亡させたとして、業務上過失致死などの罪に問われています。

裁判で、検察側は、「産婦人科医としての基本的な注意義務を怠った」と指摘して禁固1年、罰金10万円を求刑しています。
15日、福島地方裁判所で開かれた裁判では、弁護側による最終弁論がおこなわれました。

このなかで弁護側は、「患者の症状はきわめてまれなケースであり、手術の前に危険な状態だと予測することは不可能だった」と述べました。

そのうえで弁護側は、「加藤医師は、胎盤をいったんはがし始めた場合は、完全にはがした方が出血が止まると考えた。これはわが国の医療の水準に即した判断であり過去の症例でもそうした処置が行われている。加藤医師は可能な限りの医療を尽くしており、医療ミスにはあたらない」と述べ、あらためて無罪を主張しました。

この事件の裁判はすべての審理が終わり、判決はことし8月20日に言い渡されます。